院長の週末              

2001年 9−12
2002年 1−2 3−4 5−6 7−8 9−10 11−12
2003年 1−2 3−4 5−6 7−8 9−10 11−12
2004年 1−2 3−4 5−6 7−8 9−10 11−12
2005年 1−2 3−4 5−6 7−8 9−10 11−12




コウモリ夜間調査   6月29日(日)
大和川の魚       6月29日(日)
コウモリ夜間調査    6月28日(土)
夏のイベントのご紹介
琵琶湖博物館     6月22日(日)
国崎           6月21日(土)
浜寺公園        6月15日(日)
雨のコウモリ T坑   6月14日(土)
鳥の会合宿       6月7−8日(土−日)
河内長野の鳥     6月1日(日)
コウモリ M坑     5月31日(土)
ウサギコウモリ     5月30日(金)
中村賞受賞       5月28日(水)
和佐又山キャンプ   5月25日(日)
雨の大台ヶ原      5月24日(土)
万博記念公園     5月18日(日)
モリアオガエル観察会 5月17日(土)
バードカービング    5月10日(土)
穴のハシゴ 国崎他  5月5日(月)
初めてのUSJ      5月4日(日)
糸崎公朗写真展    5月4日(日)
そろそろサクランボ  5月3日(土)





コウモリ夜間調査
2003年6月29日(日)


昨日に引き続き、コウモリの出産コロニーの観察です。先週見に行ったときは新生児が見られなかったところです。昨日の穴より標高が低いので、分娩も早いと予想していました。
例によって出口でコウモリのカウント。先週よりずいぶん数が増えています。分娩直前に移動してくるものもいるんでしょう。8時前にコウモリの出洞が無くなったので調査に入りました。

期待通り新生児がいましたが5頭だけ。1頭はへその緒が付いていました。この子の体重が9g。大きな子は12gありました。親の体重が25-30gということを考えるとずいぶん大きいですね。

私はかわいいと思うんですが ”気持ち悪い” 、と、訳のわからんことをおっしゃる人が多数おられます。もうすぐこの穴では40、もう1カ所では100以上のこんな顔が並びます。週末毎の穴通いが続きそう。

この顔に会いたくって1年間調査を続けているようなものです。





大和川の魚
2003年6月29日(日)


自然史博物館で大和川の総合的な調査を始めました。その一環として、河口の魚を調査する行事がありました。
前日の雨で上流から流されたのでしょうか、メダカにタイコウチが捕れました。でも、大和川水系にそれらが生息している、ということの証明でもあります。テナガエビが数頭捕れていました。これは場所によれば食用になるんでしょうけど、産地が大和川では食べにくいですねえ。
その他おもしろかったのはウナギ稚魚(要するにシラスウナギ)、スズキの子、ぐらいかなあ。

淀川なら河口付近は干潟になっていて、カニもいっぱいいるしシジミも生きています。大和川は流速が早く、砂しか残らず、干潟が出来ないそうです。海水もそんなに上流までは逆流しないので環境が単調、ということもあるらしい。(いっぱい説明を聞いて、その時はなるほど、と思ったけど、あんまり思い出せない。)

投網を打つ練習をさせていただきました。投げてもさっぱり広がりません。結構重たくって重労働でした。テレビなんかではみんな簡単そうに投げていますが、非常に難しいもんです。

小さくてもウナギ 小さくてもスズキ

りっぱなテナガエビ 潮が差している最中




コウモリ夜間調査
2003年6月28日(土)


梅雨とはいえ、見事に雨。ここの調査は記憶では半年ぐらい雨の中の調査になっています。
大阪最大のキクガシラコウモリの繁殖地です。2週間前に調査したとき、ほとんどコウモリがいなくてあわてました。繁殖地の放棄かと思いつつ、期待と不安をもって夕方から雨の中を登りました。
気が短いので6時過ぎには穴の入り口に陣取り、バットディテクターを構えて準備万端、食事をしながら待っていました。

7時過ぎよりコウモリが出たり入ったり。様子をうかがうのか、入り口付近でコウモリが出たり入ったりするのです。とりあえずコウモリが帰ってきていることがわかって一安心です。
8時までに198頭の出洞を確認し、中に入りました。予想通り出産には早すぎるようで、子供は確認できませんでした。また来週も来る必要が出来てしまいました。

ということで、今回はコウモリの画像はありません。これは内部に残る木の枠組み。
朽ち果てて、何の役目もしていないと思われます。が、これが崩れると私も一巻の終わり。

内部に不要な岩を積んでいるケースも多い。
さわると崩壊しそうで怖い。




夏のイベントのご紹介



7月5日から8月31日まで大阪市立自然史博物館で鳥の巣展が開かれます。
所用があり博物館へ行ったついでに、準備風景を見てきました。

まあ、よく集めたものです。特にクマタカの巣の大きさにも驚くけど、採集地が大和葛城山と聞いてさらに驚きました。大和葛城山というのは奈良と大阪の境目の山。こんな所にクマタカが巣を作っていたんですね。
個々の巣、それぞれおもしろくて、とても掲載しきれません。とにかくご自分で見に行って下さい。
鳥の巣だけではなく、別の方の剥製コレクションも並べられています。

それにあわせて左記の原画展が開かれます。これも鳥の巣ではすごく有名な画家さんで、すごくきれいな原画でした。外国産の巣もいくつか展示されています。これも大変おもしろかった。


詳細は ここ に掲載されています。
見物記は こちら に掲載しました。
友の会のショップでは関連書籍をそろえていますのでこちらもよろしく。











コウモリの会では毎年コウモリフェスティバルというのを実施しています。
何年か前には広島のオヒキコウモリの観察会があり、私も参加しました。コウモリを初めてすぐの頃で、建物(学校の校舎)から一直線に飛び出すコウモリに感激したものです。


今年は左記の通り、上野動物園で行われます。
お近くの方はぜひお越し下さいませ。


ちなみにコウモリの会のHPは こちら です。













琵琶湖博物館
2003年6月22日(日)


(詳細は こちら に掲載しました。博物館の公式HPは こちら 。)
こうもりで忙しいはずが、まだ分娩していないことがわかったので、ぽっかりと予定が空いてしまいました。
数年前から気になっていた琵琶湖博物館へ行って来ました。昆虫写真家、今森さんがオープンの時に写真を展示していました。
たいへんきれいな建物と展示で、スタッフも多く(ボランティア?職員?)すごくいい感じでした。もちろん琵琶湖が主体ですが、それ以外にもいろいろ興味がある展示がいっぱいで、見るだけでも疲れました。
おまけに水族館付き。これも琵琶湖の魚を主体に広いスペースを使って展示していて、それだけでも1日遊べそうでした。外来魚も多くのスペースを使って展示。これは余分なような気がして、あまり熱心には見ず。
館外には自然観察用の森が出来ていてこちらも1日コース、かな。ちなみに森だけなら無料みたいです。
これだけで500円は安い!

アルマジロの頭骨 蝶番付きのカメ

昔の生活、といっても、私の記憶にある生活です。テレビも冷蔵庫もなつかしい。




またまた2本立て
2003年6月21日(土)


コウモリとオオサンショウウオの2本立て、しかもコウモリは通常調査と夜間調査の2本立てという豪華版でした。

コウモリは、以前にお腹の大きいコキクガシラコウモリを見つけた穴です。まだ妊娠したコウモリが残っていたら、ここで分娩する可能性が高いので貴重な発見になります。コキクガシラコウモリの繁殖はここらでは発見されていません。特に何回か書いていますが、ここはゴミ焼却場が計画されている所なので、生息だけでなく、繁殖地となるとインパクトがありそうです。
期待しつつ穴に入るとコキクが多数寝ています。慎重に捕獲したけど、残念ながらみんな♂。
こうなると、以前の妊娠♀の行き先を知りたいですがどこへ行ったか、想像もつきません。テレメトリーといっても穴の中では電波が届かないし、クジラのテレメトリーのように、電波が通じた時に人工衛星かなんかで位置を把握するんでしょうか?

夜間調査は、キクガシラコウモリの繁殖がここ数年確認されているところです。先週にコウモリが集まっているのは確認済みで、ぼちぼち出産かと思いました。7時過ぎより親(と思われる)コウモリが出始め、7時50分には出洞も終了、期待して穴に入るともぬけの殻。グアノばっかりで肝心の赤ん坊は見つけられませんでした。
まあ、楽しみが1週間伸びたと思っておきましょう。

オオサンショウウオは兵庫県の河川での調査に同行しました。川の最上流部で細い、浅い所でしたが数頭を見つけて計測しました。ぼちぼちクモの巣とブッシュの季節です。
ホタルがポツポツ。北摂はどこでも多くはないけど、あちこちに生き残っているようです。

帰宅は12時過ぎ、久しぶりのハードな一日が終わりました。

70cm級と 40cm級





浜寺公園
2003年6月15日(日)


”公園で繁殖する鳥” 、の調査です。雨の日は調査しないと言う指令がありましたが、雨が上がったので急遽調査へ。
自宅から近いので5年前も担当しました。この公園は植生が単調なためか、種類数はあまり出ない、ただ歩くだけの楽な調査地です。予想通り公園の散歩に終わってしまいました。

雨後の竹の子、ではなく、雨後のキノコ。

主がいればいい記録になったのに。
たぶんメジロ?




やっぱり雨のコウモリ
2003年6月14日(土)


梅雨入りしていますし、午後から予報通りの雨。
禁断症状が出て、前回の穴から2週間ほどしか経っていないのに(くそ)雨の中をコウモリに行ってきました。
大阪近郊で2カ所のキクガシラコウモリの繁殖を確認しています。そろそろ妊娠した♀が集まっているはずなので、その調査です。原則的に妊娠末期、授乳時はディスターブしない方が良いので、いるかいないかだけを確認するつもりでした。
能勢にある府下最大のコロニー。ここ数回、ここの調査はいつも雨のような気がします。多いときは100頭近くのキクガシラがいるのに今日はなんと5頭のみ。通常、繁殖コロニーは妊娠♀だけで作るので、いったん冬のコロニーは解散して新たに妊娠♀だけ集まるんでしょうか?でも時期的にはあと2週間以内に分娩があると予想しているのですが。

雨に曇る長谷の棚田。

もう一カ所のコロニーは明らかに分娩のみに利用している穴です。すごく短いのにお気に入りらしい。
いつもは胴長で渡河するのですが増水して濁っています。さすがに渡るのは怖くて大回りにブッシュをかきわけて穴へ。穴は極めて入りやすい大きな穴ですが、そこまでにどろどろになってしまいました。
入り口に着いたとたんコウモリの声がして、そっとライトを当てると40ほどのキクガシラが遠目に見えました。標高が低いので分娩時期が早く、能勢の穴より集まりが早い、と推測しましたがさて、実際はどうなんでしょうね。次回からは夜中の調査になりそうです。

この反対側に本道とも言うべき200mほどの穴があり、モモジロ、コキクが見つかります。入ってすぐにモモジロコウモリが寝ていました。水滴で銀色に光っていました。
本来穴というのは真っ暗、沈黙の世界ですのに、入るに従いゴー、と言う音が聞こえてきます。ここは川のそばですし導水路として利用していた穴です。雨で川が増水して水が逆流?落盤?インディージョーンズの一場面が頭をかすめます。
穴の奥で岩の隙間から滝のように水が流入していて、その音でした。あまり気持ちのいい音ではありませんでした。

ぼた餅、みたいな子でした。




鳥の会合宿
2003年6月7−8日(土−日)


鳥類研究グループの宿泊行事として、大台ヶ原と和佐又山へ行ってきました。5月24日に行った下見の、行事本番です。

7日(土):大台ヶ原
前回はガスと雨でさんざんでしたが、今回は着いた時間も早く、天気もそこそこ良かったのでそれなりに楽しめました。鳥もそこそこ見せていただきました。やっぱり山の鳥は姿を見るよりも声での同定が多いです。3つ声を聞いて教わっても2つ忘れ、時間がたつと残りの1つも怪しくなります。病院に鳥の声のCDがあるんですがとても覚えきれませんし、やっぱり回数、山に通わなくてはいけないようです。
途中の沢で石をひっくり返しているとサンショウウオの幼生が見つかりました。オオダイガハラサンショウウオやと思います。紀伊半島の群は奈良県指定の天然記念物になっています。現状を変えることは禁じられているので、このように手に乗せるということは完全に違法です。これも始末書ですねえ。でも、県指定天然記念物は環境省ではなく県の領域。

シカの口が届く範囲は葉がないため、
一定の高さで緑の線が出来る。
これをdeer line と呼びます。
大台ヶ原の名物になってしまった
枯れ木の原。

8日(日):和佐又山
和佐又山は大普賢岳という、この辺りで一番高い(んだっけ?)山の登山や、縦走の起点となるところです。ほとんどの登山客はそちら方面へ行くようですが、南側の登山道を歩くと無双洞という鍾乳洞がある、と書いてあります。実はコウモリを始めたときから気になっている穴で、今回ここの合宿地を推薦したのも、鳥で有名なのはもちろんですが、あわよくばここも見てこよう、と思っての事でした。地図を見るとこちらの登山道はほとんど等高線を横切らないので、年輩の方もおられる会とすればこちらのコースを歩く方が良い、との判断もありました。

下見の時にこの穴も見ておくつもりが、日曜に会議が入ってここまでは下見に行けずに今日になりました。
予想した通り、楽な登山道を歩きながら鳥を楽しんでいました。無双洞の直前(と、私は思った)に岩場に入り、鎖を使って降りるような所が出てきました。
しかも降りても降りても穴がありません。おかしいなあと思い、同行していた学芸員に聞くと私の地図の読み方がでたらめで、穴までかなりあることが判明しました。降りるということは帰りには登る必要があるということ、それを考えるとしんどいなあ、と思いながら、優柔不断に迷いつつ数歩歩き戻りかけ、さらに数歩歩いて、ということを繰り返しつつ、最後はとにかく行ってみることにしました。
やっと現地にたどり着くと岩の穴から水が流れ出ています。はしごを登り、上部の穴から中にはいると、かなり狭い穴でしたがりっぱな鍾乳洞様の穴でした。足元から水が流れているのが見えたり、まあ苦労して来た甲斐はありました。おまけに、コウモリやグアノのない、”いい穴”(もう、調査の必要がない穴)でした。

和佐又山からの帰りがけに温泉へ。その時点で2時前。5時起きの6時30分行動開始でしたので、たいへん長い一日でした。
(おまけに帰ってからUSJに行ったなんて、恥ずかしくて書けないなあ。)

鳥の会の合宿はいつも話題にはなるけど具体化せず流れる、ということを繰り返していました。今回は私が言い出しっぺでなんとか実現にまでたどり着き、天候もそこそこよかってほっとしています。大した仕事をしたわけではないけど、行事を担当、主催するということは心理的にも結構しんどいものでした。




河内長野の鳥
2003年6月1日(日)


大阪鳥類研究グループの、今年のメイン調査は都市公園で繁殖する鳥。数年前に大阪府下の大きな公園30カ所を調べていて、今年はその継続編です。資料によると数年前はそのうち7カ所を担当していました。調査は午前中に限る、5月末から6月中、というような制約があったのに、どうやって7カ所も調べたのでしょう?よほど暇だったんでしょうか?
今年はコウモリとUSJで調査どころではなく、陰で隠れていましたが、逃げ切れないで3カ所が回ってきました。

2カ所は河内長野周辺にあり、地理的に近いので1日で済ませる予定で、ネットで知り合ったGさんと調査しました。
あまり鳥のいない、初心者向けの公園ということで引き受けたのに、まず烏帽子形公園に行ってみると、小高い丘に鬱蒼とした森。タヌキがいる、との情報通り、なんでもいそうな森でした。アップダウンもあり、細い道がくねくね続いていて、途中で迷子になりかけながら調査終了。公園で遭難、なんて聞いたことがない。種類数は16種とまずまずでした。ドバトとキジバトがいませんでした。ドバトでもいれば1種類増えるのに。ドバトを探した事、見たかった事って、あまりないですね。
ついで寺ヶ池公園へ。大きな池を囲んだ公園です。カワセミはいたのですが池の上にはカルガモとアヒルだけ。カイツブリもサギ類も見られませんでした。

これが都市公園に見えますか? 玄関灯の上の巣。

夕方からはUSJへ。
午前中の調査に同行して下さったGさん、私の週末をなんでもご存知でした。ネットで知り合った方ですし、私のHPにしょっちゅう来て下さっているようです。自分で掲載しておきながら、自分の行動がおおっぴらになっているって、何か恥ずかしい。特にまたUSJなんてあまり公表したくないなあ。それとなくそっと、さりげなく入れておこう。
それにしても、最近の更新頻度では見る人も追いついていないでしょうね。週末だけではたいへんでしょう。ご愁傷様です。




台風一過のコウモリ
2003年5月31日(土)


季節はずれの台風が来ており、直撃ならどうなるか、と思っているうちに温帯低気圧に変わったとかで、雨もましになりました。
6,7月はコウモリの繁殖シーズンで予定が詰まりまくり。天気は良くないけど他に日が取れないので、定期調査している穴を見に行きました。ユビナガコウモリは団体で動き、当たれば200頭、はずれれば0、この穴の利用のパターンも、同じ時期でも年によっていたりいなかったりで、いまいちつかみかねています。

入ってみると水もなくいつもの坑道に戻っていました。例によって例のごとく、キクガシラコウモリを捕獲しながら奥へ。中央以降にユビナガコウモリが見え始め、ついで大きなコロニー。ふつう、ユビナガコウモリはこの季節は熟睡していないのですぐに飛ぶのですが、このコロニーは全然動きませんでした。かわいそうでしたが起こしてバンディング。妊娠した♀がいくつか見つかりました。ここで分娩するのでしょうか?
繁殖コロニーは夜間、親が外出してからの観察になります。他の繁殖コロニーの調査で6月末の土日はすべて埋まっているのに、新たにここを調査日程に入れるのは至難の業。ユビナガコウモリの繁殖は確認していないし、こっちを優先に、予定の組み直しが必要みたいです。

そういえばここはハクビシンを見つけた穴です。SARSウイルスで一躍有名になったハクビシン。コウモリも疑われているウワサもあり、タヌキも内緒で飼育しているので日本でのSARS第1号の栄誉は私の手(肺?)になる日も近い。

キクガシラと寝るユビナガコウモリ。
この組み合わせはめずらしい。
ユビナガコウモリのコロニー。
約50頭。




ウサギコウモリ
2003年5月30日(金)


ネットで知り合った方からウサギコウモリの情報を頂きました。廃屋に住み着いているのが見つかったけど、近日中に改修する。移動させられないか?、とのことでした。
ウサギコウモリは環境省の分類で希少種に入りますし、大阪近郊には生息していません。名前の通り(及び、見ればわかるとおり)長ーーい耳を持った、すーーごくかわいいコウモリです。私自身は奈良県の廃坑で1頭だけ見たことがあります。その時はコウモリを初めて1日目(?)で、そんなに珍しいコウモリ、との認識がなく、また見られるだろうと思ってしっかり観察しませんでした。

残された日は今日しかなく、病院を勤務医のK先生に任せて(まあ、最近は私がいてもいなくても同じ、という人もいます)午後から高野山まで走りました。
Nさんにお会いしてさっそく現地へ。古いお堂でした。ほぼ真四角のお堂の、横の廊下天井にひとかたまりがぶら下がっています。天井裏を予想していたのでびっくりしました。出入り口になっている扉の上が開きっぱなしですし、入って2,3mの所ですので真っ暗闇というわけでもありません。下の畳の上にはグアノがそこそこ落ちていましたが堆積というほどでもありませんでした。廊下の奥の小部屋にもいくつかがいました。
しばらく眺めた後、写真撮影と捕獲を行いました。

*環境省の許可がないので捕獲は違法になります。今回は家屋の改修に伴うコウモリの移動を依頼されました。SARSの問題もあり、コウモリがいたのでは工事が始められない、と言うのです。緊急避難的に横にあるお堂への移動を誘導しました。実際、そちらへ行ってくれるかどうかは不明ですが帰るところがなくなれば納得してくれるでしょうか?コウモリのその後の動向については、Nさんが継続的に調査してくれると思います。このあたりの事情については後述します。

なお、これらのコウモリはすべて♀で、半数以上は大きくなった胎児が触れました。妊娠しているということはここで産む気だったのでしょうか?グアノの量から考えても一冬ここで過ごしたというほど大量ではありませんので季節移動の可能性が高いです。反面、白骨化した死体が3−4体見つかりました。いままでかなりあちこちの廃坑でコウモリを観察していますが、白骨化死体を見つけたことはほとんどありません。廃坑と違って乾燥しているし、下が土ではないので残りやすい、ということかもしれませんが、そんなに新しい死体でもないし、グアノの量と考えると話が矛盾します。

そうそう、我が家、というか、浦野家は真言宗です。高野山はその総本山(でいいのかな?)ですのに、小学校以来、来たことがありませんでした。40年分お参りをして帰りました。
ウサギコウモリが呼んでくれたのかもしれません。
合掌

住み着いていたお堂と、出入りに利用していたと思われる隙間。

耳が二つ?鼻はよく見るとちょっとテングコウモリ風。


捕獲許可で環境省とけんか

今回、Nさんから移動についての話を伺ったとき、すぐに環境省に連絡しました。ウサギコウモリは希少種に分類されるため捕獲には環境省の許可が必要です。ヒナコウモリの時にもちょっともめましたので、早めに相談と思い電話してみたところ、やはり許可がないと捕獲は出来ない、触ったら法律違反ですよー、の返事しかありませんでした。

私の考えは、私自身にウサギコウモリの知識がないので今回のケースが貴重なのか普通なのかの判断が付かないが、数日後には追い出される運命なんだから、せめて雌雄の確認や体重測定ぐらいしておきたい(バンドについては追跡調査困難と思うので付けない)、と思ったんですが、許可がない以上いくら相談されても無理、という答えでした。また、ウサギコウモリの何らかの情報があれば参考にしたい、とも思いましたが具体的な情報は得られませんでした。

ケースによれば緊急性を考慮して早急に対応して許可を出す場合もあるらしいですが、和歌山県でのウサギコウモリの報告はあったはず(新発見ではない、ただし高野山かどうかは不明)だし、たまたま見つかっただけで、個人の興味からの捕獲許可は出せない、とのことでした。

和歌山県のウサギコウモリの分布や生態を広く調査する研究計画でもあれば、内容を吟味して許可するかもしれないが、いずれにしても今回のケースでは、どうころんでも許可は出ないし、触ったことはわかれば法律違反として対処する、とのことでした。
個人の興味で、ちょっと見つかったから調査する、許可が欲しい、で許可を出していればきりがない、との事も言われました。興味があるからこそ研究者もご自分の研究をされているわけで、そのデータをいかに世に還元するかが重要なんではないでしょうか。

ウサギコウモリが希少種に分類される根拠はやっぱりめずらしいとか、データが不足しているとかの理由があってのことだし、それならそれでこういうケースでは緊急にデータを収集するのが筋だと思うんですが、どうも私の考えは環境省とは違うようです。また、これが普通種なら府県レベルの許可になるのでおそらく許可は出るでしょう。希少種だからさわれないしデータも集まらない、普通種はデータを取って下さい、というのはどうも腑に落ちないですねえ。

この手の法律の本来の目的は動物を守ると言うことですし、そのためにもいろんなデータは必要だと思うんですが。それにそれらのデータの収集は一握りの研究者によるものではなく、連絡を下さったこの方のように、地道に地元で研究をされている方がいるからこそ基礎データが集まる、と思うんですが。環境省から継続調査の依頼が来てもいいぐらいだとおもうけどなあ。

いずれにしてもコウモリを手に持っている写真を載せているので、遅かれ早かれ環境省からクレームが来るかもしれません。もう2度と環境省の捕獲許可は出ないのではないだろうか。府県レベルまで圧力がかかって一般種の捕獲許可も止められたりして、というのを楽しみにしています。

法律から言うと捕獲して強制的に移動させるのは違法なので、コウモリごと建物を解体するほうが法にかなっていたのかもしれません。



中村賞受賞
2003年5月28日(水)


大阪府獣医師会に中村賞というのがあります。大阪府獣医師会(と日本獣医師会)の発展に尽くした中村先生を記念した賞で、毎年3部門(開業のグループ、衛生関係のグループなど)から3人が選ばれます。
今年はなんと私が開業部会から選ばれました。受賞対象は大阪のコウモリ。

従来、新しい手術法を開発したとか、論文が大きな学会誌で掲載されたとか、臨床での受賞がほとんどだと思います。推薦の話を頂いたときは候補で終わると思っていましたし、それだけでもうれしかったのですが、本当に選ばれるとは思っていませんでした。
といっても、これを読んでおられる方はどれぐらいすごい賞なのか、さっぱりわからないでしょうね。
今回私が、仕事とあまり関係ないコウモリで賞を頂いたことがこの賞の価値を一気に下げた、ということにならぬよう、今後も真面目に研究しなくては。
おかげさまで黒服以外の服を、おそらく10年(以上)ぶりに着ることになりました。このスーツも実はもらい物。

20年に一度のスーツ姿。
副賞はバンド1400個分。




和佐又山キャンプ
2003年5月25日(日)


昨日の大台ヶ原散策のあと、合宿宿泊予定の和佐又山へ。友人3人とおっさん3人連れのキャンプ。数年ぶりにテントを張りました。
ここはコノハズクで有名です。ブッポウソウと鳴く鳥です。大阪近郊ではここしかいないんでしたっけ?コノハズクというと和佐又山、というほど有名らしいです。ロッジのお姉ちゃんに聞いたらいつも鳴いているような話でしたが、結果的には声も姿もありませんでした。モモンガもいるという話でしたがこれも結局わからず。早朝の鳥のコーラスにも期待したけどあまり声はせず。もちろんさえずってくれても私は鳥の声はほとんどわからないのですが。

今日は午後から獣医師会の重要な会議があって、早朝に近くの山へ登っただけで、あとの下見は友人に任せて帰阪しました。
帰る途中に鍾乳洞があったのを思い出し、寄ってみました。一応懐中電灯は2つ用意して入りましたが、両方とも電池不足でだんだん暗くなる。普通は換えの電池を持って入りますが、そのつもりで装備してこなかったのでそれもなし。廃坑とは違い、歩きにくいし滑るし、途中で引き返しました。やっぱり穴は気合いと装備が必要です。

そうそう、この2日間で見た鳥というと両手で余るぐらい?友人が声を聞いて同定してくれたので記録としての種類数はそこそこありそうですが、公園で鳥を見る方がずっと種類は多いです。ここだけ!という鳥もあまり見つけられませんでした。鳥の世界は奥が深い。本番もこんなんなら文句が来るかなあ。





雨の大台ヶ原
2003年5月24日(土)


6月に予定している鳥類研究グループの合宿の世話人をしているので、その下見に行ってきました。
天気予報は悪くなかったので、なーんも考えないで友人を誘い大台ヶ原へ。
ここは狭い林道を大型バスが通るので有名です。すれ違いの渋滞のためのろのろ走って、大台ヶ原へは3時間30分ぐらいかかりました。遠かった。
なんとか着くと霧と雨。道路が頂上まで通っているので、大台ヶ原が日本で有数の降雨量を誇る高山、ということを全く考えていませんでした。ふもとより10度以上気温は低く、来る人はやっぱり本格的な装備で来られています。私は全くの町中のバードウォッチャーの格好。とりあえず傘をさして下見のコースを回りました。

シカの食害が言われていて、たしかに樹皮を剥がれた木々が見られます。奈良公園状態、というウワサほどはひどくはありませんがすぐ近くで草を食べ、人を見ても逃げることはありませんでした。
これも有名なシャクナゲが咲き始めていました。6月が季節ですのでその頃はもっと人出があると思います。

ネットで大台ヶ原を調べていたら”○○さんを探して下さい、” というのを見つけました。大台ヶ原からあるところに縦走する途中で行方不明になったそうです。簡単にこういう奥深い山にあがれるということも事故の原因でしょうか?自分が利用しながらも必要な道なのかどうか、再検討した方が良い道もあるのではないでしょうか?
ちなみに山で会うのはおっちゃんとかおばちゃんばっかり。この頃、ハイキングに行っても山はおばちゃんの世界ですね。

逃げないどころか寄ってくる。 発信器をつけた子。

シャクナゲと ギンリョウソウ(寄生植物)




5年ぶりの万博記念公園
2003年5月18日(日)


鳥の会の調査で、今年は ”都市公園で繁殖する鳥” というのを実施することになりました。5年前に同じ調査をしています。その研修会として万博公園で調査の練習をしました。
調査内容は省略。
結論を言えばシジュウカラ、エナガ、スズメ、ハシブトガラス、カイツブリ、カルガモなどの繁殖、もしくは繁殖行動を確認しました。
年がわかりますが、万博の時は中学生。何回も入ってパンフレットを集めました。跡地に○○館、という記念プレートが置かれています。遊歩道以外は鬱蒼とした森になっています。病院スタッフもみんな万博以降の生まれ。
東京オリンピックも知ってるなんて、すでに化石になりかけている世代かもしれません。

3時前に調査が終わったので飽きもせずUSJへ。
ブルースブラザーズのショーに感激。でも、ブルースブラザーズ自体も20年以上前の映画です。これを知ってる世代となるとかなり古いはずです。

パピリオンの唯一のあかし

カイツブリの巣。人に見られてる方が安全らしい。カメラの放列が出来つつありました。





モリアオガエル改めヒメボタル観察会
2003年5月17日(土)


博物館の友の会行事でモリアオガエルの産卵を観察する、というのが来週予定されており、その下見に行ってきました。島本町の某所に有名な産卵場所があるらしいです。
担当者が夕方、駅に集まり、まず新幹線高架下のコシアカツバメの観察。ここは鳥類研究グループのSさんが継続調査されています。自転車置き場になっていて、毎日調査されていると駐輪場の管理人とよく間違われたそうです。継続するというのは大変なことで、新しい発見もたくさんあったようです。早く論文にしましょうね、Sさん。

現地へ移動し、モリアオガエルが集まるという小さな池へ。予想ではいくつかの卵塊とカエルがいるはずでしたが影もかたちもありません。日が暮れれば集まるかも、というかすかな期待を胸に、時間つぶしに沢沿いを散策しました。
日がだんだん暮れるハイキングコースというのもめったに経験しないので、まあおもしろいものですが、カワセミが視界を横切ったぐらいでこれといった成果はありませんでした。両生爬虫類では、タゴガエルとカジカの鳴き声を聞いたぐらいでしょうか。
ほぼ日も暮れたので池へ戻ってみましたが、カエルというと、ウシガエルがいくつかいただけでした。しばらく付近を探しましたが気配もありませんでした。

仕方なく駅へ戻る途中、ヒメボタルの生息地を案内してもらいました。ヒメボタルというのは名前の通り、すごく小さなホタルで今の季節だけ見つかります(というか、光っています)。結構、あちこちに残っているらしいですが公になると乱獲されてしまうので内緒にしているケースも多いらしいです。ここも面積にするとすごーく狭い範囲で、有名になるとすぐに絶滅してしまいそうです。
結局、ナイトハイクとヒメボタル観察会をしてきたみたいです。ナイトハイクといっても、タヌキを見たとか、フクロウの鳴き声を聞いたとか、これといった成果もありませんでした。

さて、来週はモリアオガエルは出るんでしょうか?ちなみに私は予定があり、残念ながら参加できません。出てきて欲しいような、でたら悔しいような。

コシアカツバメと 普通のツバメ

モリアオガエルがいるはずだった小さな池

これではホタルとは、わかりませんね。




おまけ
葉書を買っていただいた、A さんからのお手紙に入っていました。
よくできていますねえ。ヒナコウモリ科でしょうか。




再びUSJ
2003年5月11日(日)


雨が上がると思っていたのに1日雨。
傘をさして一日中、アトラクションやショーを楽しんできました。
出演者や司会者(とは呼ばないだろうなあ)が観客をあおってくれるけど、国民性からか、テレビでよく見るような、アメリカ人やイタリア人の様な盛り上がりが今一歩。
私自身、のめり込みたい気分半分と、気恥ずかしさ半分。
拍手ぐらいはできるけど、大声を上げるところまではなかなかできませんねえ。




バードカービング
2003年5月10日(土)


バードカービング展が中之島公会堂であるというので(バードカービングより改装された公会堂を見に行きたくて)見に行きました。
中之島にブルーシートが延々と続いています。最初は催し物かと思ったら ”住宅” (長屋)でした。まあ、何とも言い難い風景です。

公会堂は遠くから見たり、阪神高速道路の上からはしょっちゅう見ていますが入ったのは初めて。もちろん現役の公会堂で、あちこちの部屋で会議や会合が行われていて、単なる見学はお断り、の看板がありました。それにもめげず、あちこちうろうろしながら3階で行われていたカービング展へ。公称400点だそうです。特に優劣を決める会ではないので、各人が複数の作品を並べていました。やはり目立つのはカワセミ、オオルリ、カラ類の混群、スズメ等でした。種類の統計を取ればおもしろそうでしたが結構偏ってそうでした。どういう訳か、コノハズクはいっぱい出てるのにアオバズクは1点もありませんでした。
出来のいいのやら、そうでないのやら。
まあ、人それぞれご自分で楽しんでおられるんでしょうし、私もそれなりに楽しませていただきましたので、それでいいと言うことでしょう。
ついでに大阪市役所、中之島図書館あたりもうろついて帰りました。


ちなみにバードカービングについては、 こちら をご覧下さい。制作過程や作品が並んでいます

川沿いに長屋が延々と続く。 大正7年の建物。




穴のハシゴ
2003年5月5日(月)


これだけ休みが続くのに穴へ行かないと禁断症状が出そうです。穴のハシゴをしてきました。
まず、キクガシラコウモリの繁殖地へ。一般的に、コウモリは穴を使い分けるとされていて、ここは繁殖にのみ使っているようです。残念ながらまだ集まってきていないようでした。頻繁に私が調査にはいるので、気分を害して引っ越ししたのでなければいいのですが。調査とディスターブは裏表、というよりコウモリにとっては迷惑そのものです。

ついで国崎の穴へ。ここはゴミ焼却場の建設予定地です。
一庫ダムのすぐ上で、確かこのダムは水源にも用いているはずです。現在、別のゴミ焼却場も稼働していて、水瓶の上に焼却場が2つ、ということになります。神戸県民の皆様、ご存知なんでしょうか?
その関係もあり、反対派からの依頼もあって精力的に調査しているつもりですが、普通のコウモリしか見つかっていません。
いつもコキクガシラコウモリが見つかる穴で、妊娠した♀が2頭見つかりました。コキクガシラコウモリの繁殖地は大阪近郊では見つかっていません。コウモリで開発が止まるとは思えませんが、北摂唯一の繁殖地となるとちょっとぐらいインパクトはあるでしょうか?

出口が見えるとほっとする。 ここを越えるのはぞっとする。

なぜだか頭骨がゴロゴロ。アナグマ(穴の中で採集)とオスのシカです。




初めてのUSJ
2003年5月4日(日)


開業して2年(だったかな?)たつのに行ったことがありませんでした。年内有効のフリーパスを5日まで販売、との宣伝につられて、暇ができたので無謀にもゴールデンウィークの中日に行こうとすると駅に ”入場制限” のお知らせ。HPでチェックすると5時から入場可能、となっていました。

とりあえず下記の糸崎さんの写真展を見て、ヨドバシカメラ(ここもなんと初めて行った!)で時間をつぶしてやっと夕方にUSJへ。
確かに人はいっぱいでしたがそれなりに楽しみ、アトラクションも2,3見ることができました。主目的がフリーパスの購入でしたので次回を楽しみにしています。
正直な話、あんなにおもしろいとは思いませんでした。病みつきになりそう。




糸崎公朗写真展
2003年5月4日(日)


フォトモ、ツギラマ、といってもわかる方は少ないでしょう。
宮崎学さんのページにちょくちょく顔を出しておられる写真家で、私がネットで知り合った芸術家さんのご友人です。
説明するより こちら をご覧になって下さい。
大阪の下町を写真に撮り、それを立体的に組み立てる、と、言ってしまえばおしまいですが、結構おもしろい作品が並んでいました。本も出版されていますし、いろんな雑誌にも取り上げられたり、作品が掲載されています。

大阪での写真展は終了しましたが、HPをご覧になれば次の展覧会の予定等が載っています。



 これも写真を組み立てる手法で作られていました。
 そういえば通天閣には登った記憶がないなあ。
 




























そろそろサクランボが
2003年5月3日(土)


ゴールデンウィークといわれても特に予定もなし、気分的にのんびりするかなあ、という程度です。
朝に何件かの診療をして自宅にもどり、久しぶりに庭の散歩(?)とサクラの木の毛虫取り。
サクランボがぼちぼち赤くなってきています。食べ頃の実には鳥がつついた跡。これからは、鳥と人との取り合いです。