野鳥カルテ 



2008年  10−12





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2007年 1−3 4−6 7−9 10−12
2008年 1−3 4−6 7−9 10−12
2009年   1−6   7−9 10−12
2010年 1−5   6−8     9−12
 

  



オオミズナギドリ   11月11日
ツミ      10月30日
ウミネコ   10月14日




オオミズナギドリ
11月11日


強風でもないのに、都会で保護されるのはめずらしい、のでしょうか。たいへん、かわいい鳥ですねえ。
レントゲンでは異常なく、血液検査でGOTの、若干の上昇がありました。数少ない経験では、自分で食事をしない子がほとんど。痩せてもいませんし、強制給餌を二日間して、放鳥しました。




ツミ
10月30日


知り合いの、某博物館(相当施設)の学芸員の方から、「ツミ」が保護されてきました、との連絡がありました。
正確な種名付きで連絡が来るのは助かります。

なぜだか、尾羽がすべてありません。さらに、右翼に出血。


レントゲンで確認すると、指骨が脱臼しています。ここは風切りが付く、重要なところ。たぶん、飛べるようにはならないでしょうねえ。

残念ながら、死亡しました。



ウミネコ
10月14日


久しぶりの、海ものです。
ガリガリに痩せています。


肩甲骨と鎖骨の骨折です。さらに、胃の中には釣り針が入っています。
鳥の胃は、スーパーマーケットの「砂ズリ」を見ればわかるように、筋肉のかたまりです。哺乳類の胃内異物のように簡単に胃切開、という訳にはいきません。幸い、針は折れている感じで、糸などは付いていないと思われますが、この針が痩せている原因なら、どうしようもないんじゃないんでしょうか?さらに、さすがにこの骨折では、飛べるところまで回復してくれるようにも、思えません。

魚食性の鳥なので、長期に飼育するとなると、犬舎がにおいます。(雑食なので、魚にこだわることもないのかもしれませんが。ササミで育ったサギというのも、聞いたことがあります。)自宅のバードケージで経過観察です。



残念ながら、12月13日に死亡しました。約1ヶ月たつので骨折部が固まってくれるかと思ったのですが、剖検してみると、右上腕骨の骨頭が壊死していました。鎖骨は固まっていたのですが。


腎臓が変色して、肥大しています。かなり前から、具合が悪かったようです。体重の増加があり、食事しているので安心していたのですが。
胃の内容(針)は、確認するのを忘れていました。強力な胃酸で、溶けることもあるそうです。

結論から言うと、保護時に、放鳥できないであろう事を推定するべきだったのかもしれません。ただ、開放骨折でもないので、抗生剤を使うという判断はありませんでしたし、この壊死が、感染が関係あるのかどうかは調べていません。外科的に整復する骨折でもないように思いますし。