野鳥カルテ 




2007年  7−9 



2006年 1−3 4−6 7−9 10−12
2007年 1−3 4−6 7−9 10−12
2008年 1−3 4−6 7−9 10−12
2009年   1−6   7−9 10−12
2010年 1−5   6−8     9−12



ヒヨドリ    6月30日
ムクドリ   6月20日
ドバト     6月18日
カラス2題  6月4日
ドバトの卵  5月30日
ヒヨドリ    6月1日
ムクドリ   5月17日
ドバト     5月15日
スズメ     5月11日
カラスの巣  5月2日
キジバト   4月25日   




ヒヨドリ 2例
6月30日


ヒヨドリが相次いで来ました。

ネコが連れてきたらしいです。
大きな外傷は見あたりませんが、何となく元気がありません。

残念ながら、翌日死亡しました。剖検しても異常はわかりませんでした。


巣立ちヒナを育てていたそうです。もう、10日になるとか。立てない、との事で連れてこられました。
全身、多発性の骨折というか、あちこち骨が折れて、足は「あっちの方向」を向いています。今さらどうしろと言われても、どうしようもありません。
たぶん栄養性のものでしょうねえ。


安楽死になるか、育てても悪疫質(皮膚からのバイ菌の感染等)で死亡するような気がします。



ムクドリ
6月20日


ドバトと同じところから来ました。今年3頭目、っておっちゃんが言ってました。同じところで同じ事故があることは多いらしい。でも、昨年やその前はそんな感じがしませんでした。今年はどうしてなんでしょう?
ただ、今回の子は単純な衝突ではないかもしれません。

あちこちの骨折に、頭部外傷、首の外傷。尾羽がなくなっています。猫でしょうか?衝突のあと、猫にやられたのかもしれません。
ダメと思いつつも、断翼して様子を見ています。

翌日、死亡しました。



ドバト
6月18日


とある公共施設の窓にぶつかったそうです。神経症状が出ていて、歩けず、飛べず。
とりあえず安静にして様子を見ていましたが3日後
死亡しました。腹腔内に軽い出血がありましたが、それで死んだのかどうかはわかりませんでした。




ハシブトガラス
5月と6月
各1例

巣立ちヒナ2例まとめて。
一人は餌付かずに落鳥し、もう一人は十分飛べたので数日で放鳥しました。

数日で落鳥しました。 この子は放鳥。


剖検したら頭骨に出血?、かと思ったけど、脳は問題なし。
ヒナの頭部ってこんなんでしたっけ?昔は頭部の外傷かと思っていたけど、違うかも。


このカラスは家猫が連れて帰った子、らしいです。
左の下顎に外傷がありました。餌付かなかったのと関係あるのかどうかは、わかりません。

雌雄の判別。子供なんでこれもはっきりわかりませんが、たぶん♀。




ドバトの卵
5月30日


ドバトが、ベランダにおいていた植木鉢に座って卵を産んでしまったそうです。巣なんて、ほとんど作らないんですね。
厳密な言い方をすれば、ドバトの卵といえども捕獲に許可はいるんですが、産まれる前に取っても、誰も何もいわんでしょう。

野次馬的な興味で赤外線ランプの下に置いて、1日数回、転卵してみました。


検卵器を作ってみましたが判断の仕方がわかりません。2,3日観察しましたが、なんか雰囲気がおかしいので開いてみました。ら、腐っていたのでもう一つも諦めて標本にしてしまいました。




ヒヨドリ
6月1日


夜の7時過ぎ、病院が終わって患者さんが帰る時、病院のすぐ前にいました、ってこれを手渡されました。
明らかに巣立ちヒナですが、これから暗くなるのに木に止めてほっとくことも出来ず、とりあえず保護しました。
うーん、かわいい。


実は今日の昼に、病院の少し横の木にヒヨドリが入っていくのを見ています。巣でもあるのかと思い、しばらく眺めていましたが結局よくわかりませんでした。

翌日、6月2日に病院へ来ると電線にヒヨドリが止まってます。遠くから見ているともう一羽が、私が考えていた木の向かい側に入っていきました。併せてヒナの声がしました。


ヒナが3つ並んでいます。
巣は見つかりませんでした。


で、病院のヒナを連れてきて、この木の下に止めようとすると隣の植え込みに落っこちました。
ピーと鳴いたとたん、親が飛んできました。いやー、親子の愛ですなあ。

しばらく遠くから眺めていましたが、植え込みの中から出てくる気配がありません。心配してのぞきに行くとヒナが飛び出し、無事木に飛び移りました。

これにて一件落着。あとは親に任せましょう。

結局、この子、一人だけ夜に病院の方まで飛んできたのでしょうか?みんなで移動中にはぐれたのでしょうか?
夜でも木に止めておけば、朝に親が呼びに来たのかなあ。

それからしばらくして、この子を待っていたようにみんなでどこかへ移動したようです。




ムクドリ
5月17日


ムクドリが来ました。
尺骨の骨折です。見た目は変位がほとんど無いのですが、関節部分なのできっちりなおってくれるかどうかが心配です。
その前に、元気だけど足が立たないのも心配。


(しばらく飼育してから飛べるようになったので、放鳥しました。)



ドバト
5月15日


ねずみ取りにくっついたドバトです。シートごと来ました。


ケイ酸アルミニウムをまぶして、油で揚げます 粘着物質を取り除きます。
幸い、風切り羽根がひどくなかったのですぐに取れ、すぐに放鳥しました。

胸の羽はだいぶん抜けましたが、まあ、問題ないでしょう。

(放鳥しました。)



スズメ
5月11日


今年の初スズメ。
片足の指が開きません。スズメでよく見る異常です。
止まり木には止まれるので、生活に不自由はなさそうに思います。自分で口を開いてよく食べるので給餌が楽。

かわいい。




カラスの巣
5月2日


救護ではありませんが、話題が少ないのでこちらに掲載します。
スタッフの家の近くの電柱にハシブトガラスが営巣したそうです。例の、ハンガーを使っている巣です。道を歩いていて、目の前にハンガーが落ちてきて気がついたそうです。ちなみに、落ちたハンガーはひらって巣に再利用するそうです。

電柱に金属の針金、ということで見つかると撤去されることが多いらしいので、先手を打ってこちらから関電に連絡し撤去してもらい、その巣を博物館に寄贈すると言うことにしました。
博物館にカラスの巣が二つ並んで展示されています。都会のハンガー製の物と、田舎の純粋な木造建築です。ハンガー製の物は私が近所の家で撤去された物を頂いて博物館に持ち込んだもの。これが非常に崩れてて巣の格好をなしていません。子供の針金細工か、新進気鋭の芸術作品みたいになっています。可能ならこれと入れ替えたい。(って、関係者でもなんでもないのにねえ。)
関電屋さんも気を遣って崩さないようにおろして下さったようで、「上物」の標本が手に入りました。

印象的には8割が針金、というところでしょうか。産座にはちゃんと植物質のベッド。(今から思うと産卵直後に撤去すれば卵も手に入ったかな。ただし卵の採取は厳密に言えば違法。でも、知らなかったら仕方ない。)巣材はハンガーに木の枝、さらにビニール袋にボロが少々、ひもがいくつか。専門家ならきっちり分類するんでしょうかね。




キジバト
4月25日


友人の紹介で遠いところを連れてきて下さいました。たいへん、ありがとうございます。

最初の電話は、飼い主さんはなんとか野生復帰させてやりたい意向がある、うちで手術してやってもらえないか?との事でした。でも、詳しく聞くと最初に骨折を見つけたのは10日以上前、と言います。しかも開放骨折だとか。そんなん、今から見ても何も出来ないのではないか?って返事しました。
おそらく、手術より、ペットとして飼うのか安楽死するかの選択しかないだろうと思いました。

来てみると両翼がテープで固定されています。確かに、本を見ると翼の骨折ではこんなギプス法(というか、固定法)を書いているものがあります。これは変位がほとんど無い骨折で適応出来ること。私はこの技術は持っていないのでやったことがありません。
ただ、このケースでは全く無意味と言うことは断言出来ます。

かわいいんですけど・・・・・・。 こっちは正常な方。怒って、翼でたたきます。


レントゲンでは骨が腐りまくっています。近位側が溶けている。
実はレントゲンを撮るまでもなく、骨折部から骨が飛び出して化膿しているのが一目瞭然です。すぐに断翼しました。


この子、患者さんの庭で繁殖した子供だったそうです。で、何とかしてやりたい気持ちが強かったようです。
ただ、ペットとして籠で飼う状況ではないらしいです。

結果論から言うと、最初の骨折状況を見ていないので何とも言えないのですが、開放複雑骨折なら治療する前に安楽死するべきだったかもしれません。中途半端に期待を持たせて保護飼育し、期間が長くなると、やっぱり情も移るだろうし。いわゆるトレアージ、治療前の判断が重要と思われます。野鳥の骨折は100%の回復しか成功とは言えません。

さて、困った。
えらそうに、「野生復帰出来ない鳥は
安楽死」と言っておきながら断翼してどないする。
とりあえず、自宅の「リカバリールーム」にほりこんでしまった。このまま飼い殺しか、「教育用の鳥」としてイベントに貸し出すか。