野鳥カルテ 



2007年  7−9 



2006年 1−3 4−6 7−9 10−12
2007年 1−3 4−6 7−9 10−12
2008年 1−3 4−6 7−9 10−12
2009年   1−6   7−9 10−12
2010年 1−5   6−8     9−12



この頃、あまりこちらに載せる話題がありません。
症例はいくつかあるのですが、ちょっといろいろあって載せる気にならず、さっぱり更新していません。

一番最初はここから始まったことなんですが、まあ、時代の流れ(ではなく、時間の経過)とともにこちらの心境も変わってきたということでご勘弁下さい。この、野生鳥獣救護関連からうちのHPに来て下さる方が多いのですが、申し訳ないです。
これからもこちらは、あんまり期待しないで下さい。




テンのその後
8月


人工保育個体なので野生では生きていけないのではないか?との事で、保護された方が引き取ってくれる動物園を見つけられました。動物園側も展示用のテンを捜していて、スペースだけは作っていたので非常に喜んだとか。
というところで、移動するに当たって役所とトラブりました。
こういう野生動物を展示に使う根拠がありません。また、県を超えての移動も法的には定めがありません。
展示に使いたいのであれば捕獲許可を取ってからの捕獲ですし、傷病獣は放鳥獣が原則。人工保育なんで、健康状態は良好。
動物園側も、どうしても欲しいことは欲しいけど、許可のない野生獣を入れるわけにはいかないと言うことで悩んでいました。

結局、行政側が、これは傷病獣ではないし、動物愛護の観点から移動を許可(というより、実質的には黙認?)するというような形になったようです。

まあ、一度前例が出来ると次が楽かもしれません。もっとも、役所的には例外中の例外、てな感じかもしれませんが。



クサガメ
8月


今回の話題はカメの(おそらく)交通事故。
甲羅が割れて、後ろ足が麻痺しています。さて、どうしたもんでしょう?

他の病院で、抗生物質の粉をふりかけたらしいです。まあ、出血もあるし筋肉の損傷なので化膿止めのつもりでしょうけど、甲羅の再生のじゃまをするような気がします。

グラスファイバー樹脂を仕入れて、整復することにしました。大きく割れた後ろ側はワイヤーで固定しました。


全身麻酔後、落ち込んでいた骨片を引っ張り出して位置を整えて樹脂をかぶせました。見た目は非常にきれい。
完全にきれいになるまでは年単位が必要でしょうね。後ろ足が不自由ですし、それまで生きていてくれるのかどうか。

そうそう、手術前にレントゲン写真も撮影しているのですが、手抜きでこちらには載せませんでした。すみません。




ヒヨドリ
8月7日

見ての通り、ヒヨドリの巣立ちヒナです。実はこの子(あるいは兄弟かもしれません)、3回目の来院。

昨日の昼間に、セミ取りの子供が連れてきました。巣立ちの説明をして木に戻しました。親子で呼び交わしながら街路樹を渡り歩いていました。
夕方、7時頃にうちの患者さんが、道路にいた、って連れてきました。まあ、確かに路上なら危険ですね。で、近くの木に再び戻しました。
今日のお昼、今度は病院の目の前の街路樹に親が止まっています。子供を捜すと自転車の車輪にヒナが留まっています。いったん保護して近くの街路樹に戻しました。
しばらくすると親がどこかへ連れて行ったようで、ヒナの声もしなくなりました。
めでたし、めでたし。




イタチ、改め、テン
7月12日


ネットで相談を受けました。山間部の作業小屋で赤ん坊を保護されたそうです。
最初、イタチと言うことで話をしていましたがちょっと大きい感じでした。写真を送って下さったので見てみると、どうもテンのような気がします。
テンの子供の写真なんて見たことはないんですが、こんな色なんだろうか?耳や顔はテン。

かなり人慣れしているようです。
どうすればいい?って言われても、なんて返事して良いものか。
「飼ってやれば?」って、言ってしまいました。

人工保育した野生哺乳類をいきなり野に放って生きていけるのかどうか。タヌキの例ではほとんどがすぐに死んでいた、って読んだことがあります。逆に言えば、少数は生き残る、とも言えるのでしょうか。

動物園で飼ってもらう、と言う話ももちろん出ていますが、野生の動物を動物園に持ち込むことが良いのかどうかも問題。病気の持ち込みも考えられるでしょうし。もちろん、外国から野生動物を入れて展示するのも動物園の仕事ですので、検疫して導入するなら問題はないか。
ただ、そうなってくるとテンは良くってスズメはいらない、タヌキはいらない、というのも動物園の勝手。




ヒヨドリ
7月12日


こんなにひねてから来られてもねえ。
6月30日に、足を骨折した、って来たヒヨドリの片割れだそうです。
痩せて皮膚は痛んで見る影もありません。それでも顔を近づけるとエサが欲しくてピーピー、口を開けます。お尻を見るとアワ玉がそのまま出てきています。

結局、街路樹のヒヨドリのヒナを誤認保護して、食事も合わなくってどんどん状況が悪くなっているということです。非常に多いケースです。

正直なところ、安楽死しかないでしょう。




スズメ
7月2日


1ヶ月前に来た子。
来た時は8g。


13gになりました。
普通、これくらい小さい時から育てると手乗りスズメになるケースが多いですが、この子は全く慣れません。指を入れると攻撃してきます。
足が悪くて止まり木に止まれず。