野鳥カルテ 


2006年  10−12





2006年 1−3 4−6 7−9 10−12
2007年 1−3 4−6 7−9 10−12
2008年 1−3 4−6 7−9 10−12
2009年   1−6   7−9 10−12
2010年 1−5   6−8     9−12



メジロ       12月16日
チョウセンイタチ 11月14日
クイナ       11月4日
シロハラ      10月26日
キビタキ      10月17日
メボソムシクイ  10月13日
タヌキ       10月12日
メボソムシクイ  10月5日




メジロ
12月16日


久しぶりに野鳥が来ました。
飛びますが、傾いて落ちます。止まっても焦点が定まらず、動くと頭部の振戦(ゆれること、かな)がひどくなります。おそらく頭部の外傷でしょう。

一晩安静にして治る子は治るし、ダメな子はダメ。




チョウセンイタチ
11月14日


ネットにニオイを載せたいけど無理でしょうか?部屋中、イタチのかほり。

まあ、世の中にはいろんなことがあるようで、こんな状態で救助の要請があったそうです。イタチじゃなかったらテレビに出られたでしょうか?
上の方が少し間隔が広いそうです。それにしても何を考えていたんでしょう?ネズミでも追いかけていたのか。

助けたのは私ではありません。役所の獣医さんが麻酔をかけて救護され、うちに搬入してくださいました。
麻酔をもう一度かけて神経学的検査と膀胱のチェック、皮膚の処置。特に問題なさそうなのですみやかにお引き取り願いましょう。
同じ外来種でも、アライグマなら駆除対象。チョウセンイタチは外来種で狩猟獣だけど駆除対象ではない。しかも狩猟対象はオスだけ。なんだか不思議。(ちなみにこの子はオスでした。)




クイナ
11月4日


某博物館の学芸員の方が連れてきて下さいました。
「クイナです。」っておっしゃってくれたので助かりました。こんなん、いきなり連れてこられても、見ただけではすぐに同定できなかったでしょう。
痩せて、起立できません。神経学、解剖学的(レントゲン)には異常は見つかりませんでした。痩せていたので衰弱、としか言えませんでした。田植えの時期には農薬中毒で起立不能になるサギ類がいっぱい来る、って講演会で聞いたことがありますが、時期は違いますし、大阪ではそういう経験はありません。この大きさなら採血できたかな、と、あとで思いました。
強肝剤とビタミン剤、くらいしか思いつきませんでした。




シロハラ
10月26日


走っている車にぶつかったそうです。来た時は起きていました。が、はねて歩くだけで飛べません。
レントゲンでは骨の異常は見つかりませんでした。
翌日になっても状態はあまり変わりません。歩くと壁にぶつかるので視力が無い様な感じです。犬猫、大きめの鳥なら眼底を観察できるんですが、相手が小さすぎて内部はよくわかりません。もっとも、こういう頭部外傷が視力消失の原因なら、構造的には眼球自体、問題がない場合が多いです。

数日後、放鳥しました。普通に飛んでました。



キビタキ
10月17日


病院のすぐそばでひらわれたようです。
翼の骨折です。かなり出血しており、神経症状があったのでダメかなあ、と思いつつ酸素吸入と安静にしていると元気になってきました。


翌日、麻酔後に精査。開放骨折でほとんどちぎれかけ。整復を試みることなく、断翼してしまいました。


で、食欲も出てきました。
すごくかわいい。




メボソムシクイ
10月13日


来る時は続くのか、また野生鳥獣が来ました。一つはキジバト。ネコが連れて帰ったとかで尾羽はすべて無く、背中も禿げています。さらに、患者さんが保護しようと思って捕まえた時にも、大量に羽が抜けたそうです。そういう意味でもキジバトはあまりさわりたくない鳥ですね。普通に飛べるようでしたので、そのまま放鳥を指示しました。写真を撮ったのにエラーで写っていません。残念。

もう一つはメボソムシクイ。鳥を見に行ってて、ひらったそうです。状況から考えて建物への衝突のようでした。ガリガリに痩せています。
残念ながら数時間で死亡しました。




タヌキ
10月12日


けっこう都会で保護されました。一見して事故による後躯麻痺。痛覚反応もなく、厳しい状態です。
顔を見ると若いし(今の時期に事故に遭うのはたいてい今年生まれの子。分散の時期なんでしょう。)かわいいんですけどねえ。それでも野生なんで、油断するとかみつきに来ます。


胸椎の最後の方ですね。一番折れやすいところで折れてます。


念のため造影剤を流してみると前の方に流れます。要するに、完全断裂ではない可能性がありました。
しばらくレントゲンをながめ、手術して固定するかどうか考えていましたが肋骨の骨折もいくつかあり、開放骨折でしたので(皮膚が破れて骨が見えている)手術後の管理を考えると予後不良と判断し、安楽死となりました。


処置後、病理解剖すると折れた肋骨が内臓を傷つけており、あちこちで出血がありました。結果的にはやっぱり無理だったようです。



メボソムシクイ
10月5日


某博物館関係者の方が持ってきて下さいました。遠いところ、ありがとうございました。
小学校の窓ガラスに衝突したとか。今の季節に大変多い事故ですが、生きて来る子はあまり経験がありません。たいてい死体をひらうくらいでした。
後肢が麻痺しています。レントゲンでは異常はわかりませんでした。たぶん頭部か、脊椎に異常があるんでしょうけど、それ以上の診断や治療は出来ないので様子を見るしかありません。
助かる子は翌日、普通に飛んでいくし、ダメな子はダメ、としか言いようがない。呼吸困難もあるのでたぶん無理でしょう、ってお伝えすると、翌日に亡くなったそうです。ヘンな予想が的中しました。
保護時はミルワームをしっかり食べていたんですけど。野鳥は食べながら死ぬもんです。