野鳥カルテ           



2005年  7−9 



2001年 9−12
2002年 1−3 4−6 7−9 10−12
2003年 1−3 4−6 7−9 10−12
2004年 1−3 4−6 7−9 10−12
2005年 1−3 4−6 7−9 10−12







ヒヨドリ        9月20日
チュウサギ      9月12日
ヒヨドリ 2つ      9月7日
ドバト         9月2日
カイツブリ       9月1日
ムクドリ        8月17日
スズメ         8月15日
ドバト         8月13日
オオルリ        8月7日
アブラコウモリ    8月1日
アブラコウモリ    7月28日
一応、ヒヨドリ     7月27日
ヒヨドリ         7月22日
ヒナコウモリ      7月19日
ドバト          7月15日
ムクドリ        7月11日
カワラヒワ       7月10日
チョウセンイタチ   7月6日






ヒヨドリ
9月20日


ヒヨドリが来ました。食欲が落ちてきた、飛べない、とのことでした。
ヒヨドリで一番多いパターンでしょうか。
(たぶん)栄養不良か吸収不良、あるいは生まれつき(?)足が悪いかで、足が立たず。
鳥の巣という感覚があるのか、丸いお椀型の入れ物にティッシュをひいてそこで飼われる方が非常に多いです。これをすると足は使わないのでますます変形し、お腹はすれて羽毛がダメになる、糞で汚れる、羽根が痛むで、特に小鳥類は弱ってダメになるケースが多いです。
鳥は必ず木に止めましょう。木に止まれない子は最終的には難しいように思います。
床に丸い木をガムテープで貼り付けるだけでいいです。サギでも、地面を歩くだけと思っていたのに、木を置くと落ち着くようです。

私の技術と知識では、こうなってから元に戻す方法は知りません。
ドバトで、こんな状態になってから2,3年飼っておられる子を見せてもらったことはあります。うちのカラスは1年ほどで死亡しました。
専門書には、セキセイインコのいわゆる脚はずれで、ティッシュの箱で飼う方法も書いていたので、糞の管理さえ出来れば飼育可能なんでしょうか?

スズメでも足が悪い子はよく来ます。管理の問題か、私は長期に飼えた子はありません。



チュウサギ
9月12日


京都南部の、小椋池干拓地という広大な埋め立て地で保護されました。
道路をトボトボ歩いていたそうです。外傷はなく、かなり痩せています。
保護したのは鳥の学芸員。鳥の生き死にに人間が関与していいのかどうか、そこまで深く考えないで、やっぱり飛べない鳥がいれば保護したくなりますよねえ。
標本用に、死ぬのを期待してうちへ搬入したんだろうか?意地でも元気にしてほかしに放鳥しに行きたいものです。

鳥のレントゲンは透視してるみたいによく見える時がありますねえ。痩せてるから?




ヒヨドリ ジロー
9月7日


道路でケガをしたのを見つけられたそうです。ずいぶん遠くから連れてきて下さいました。ありがとうございました。
翼の骨折でした。

うーん、レントゲンだけ見るとムラムラ来ますなあ。理屈では両方にピンニングすれば整復できますし、ゴイサギ、カラスサイズでは何回かしています。ヒヨドリのヒナサイズでは記憶にない。
連れてきた方が飼うとおっしゃっており、整復手術、断翼はかなりリスクがありそうなので、翼の固定だけしてお返ししました。凝血を取ると再出血しそうで傷の具合も正確には把握できませんでしたが、開放骨折ではなさそうですのでこのまま固まってくれることを願っています。(って書いたけど出血してるなら開放骨折か。骨は飛び出していなかった、という意味で書きました。)大人になれば断翼しようかなあ。
ゴイサギやドバトなど、ペットになれない子なら無理を承知で手術するんですが。



ヒヨドリ イチロー
9月6日


以前、アブラコウモリを連れてきて下さいました。今日はヒヨドリでした。いつも、ありがとうございます。
最初はムクドリって連絡をもらっていましたが口を開けるとピンク、すなわちヒヨドリでした。
親は全然違う鳥なのに子供はどうしてこんなに似ているんでしょう?
ヒヨドリはこのサイズで巣から出てきます。出た場所が道路だったりするとやっぱり危険ですねえ。保護してすぐなら近くの木に止めれば親が連れに来たかもしれません。でも、兄弟は見当たらなかったそうです。




ドバト
9月2日


ドバトが来ました。例によって神経症状?
うまく歩けずに羽を広げるので翼角が両方肥厚しています。どういう訳か普通に歩く時もあります。
翼角がここまで痛むには何日か、かかっているはず。この状態でしばらく生きているんでしょう。しいて捕まえないでも、このままでもええんとちゃうの?、
と思ってしまいます、とはいえ来た以上はなんかしないと。
細菌性に脳炎を起こしているという仮定で、抗生物質でも投与してみようかな。

こけたらしばらくそのまま。 バランスを取ろうとして尾を広げる。

翼角が両方痛んでいる。

結局、何もしないでも回復して放鳥しました。
なんだったんでしょう?




カイツブリ
9月1日


約10日前、溝のすのこ(?)に足を挟んでいるのを保護されたそうです。衣装ケースに水を入れ、そこに浮かべて金魚やコオロギ、ミミズなどを与えているそうです。よくそこから出て部屋を走っているとか。
私自身はカイツブリを飼ったことがなく、聞いた話では餌付かないと思っていました。餌付くんですねえ。でもちょっと痩せていました。

左足の指が開きません。レントゲンでは骨に異常はありませんでした。おそらく腱か神経がダメなんでしょう。
カイツブリは水上で生活出来るように特に特化した体をしているので、部屋を走るのは普通の状態ではないように思います。陸に上がりたいのではなく、逃げたくって水槽を飛び出すのではないでしょうか?
エサさえあれば自分で食べるんですから、早急に放鳥するように伝えました。というより、どうしてもっと早く放さなかったんでしょう?水鳥は飼えば飼うほど沈むようになります。

おそらく足は回復しないでしょうけど、今の環境で長期に飼育できるとも思えません。
すでに名前も付いて家族でかわいがっている様子です。まあ、ペットにしても誰も困りませんが。




ムクドリの死亡
8月18日


ムクドリが死亡しました。
16日に保護され、この時は足はダメでしたが飛んでました。強制給餌してもすぐに吐きだして受け付けず。野鳥ではこういうケースは多くあまり気にしませんでした。
17日に手術し、同じく強制給餌。やっぱり受け付けず。
18日、体重減少が激しく、食事を取る様子もなく、経験的に死ぬ予感。今ならまだ飛ぶのでこのまま死ぬより、かすかな期待をかけて放鳥して自分で食事を取らせようと思っていたら昼前に落鳥しました。

仮剥製作成のため解剖すると腹腔に多量の出血がありました。足が骨折するぐらいの衝撃があったので内臓も痛んでいたようです。結果的には何をしてもあかんかったとは思うけど、生前に診断できなかったのは残念。といっても、レントゲンでもこんなのの診断は無理(もちろんレントゲンは撮ったけどここまでの詳細は分からず)。
鳥は表情がさっぱりわかりません。これは予想もしませんでした。

中身はビンの中。 胴体を後ろから見ている格好です。




ムクドリ
8月16日


2羽、電線から争いながら落ちてきたそうです。足がブラブラ、と言うことで連れてきて下さいました。
下腿骨(脛骨)骨折です。鳥どおしのケンカは時々見ますがこんな大けがをするんでしょうか?落ちた時に骨折?骨折するぐらい体重が重いとも思えないけどなあ。普通に飛ぶのによく保護できたなあ、と思っています。
痛覚がないのでたぶん神経も切れているのでは?
片足がまともなので生きていくのには問題ないと判断しました。
一応、ピンニングしましたが2,3日したら放鳥の予定。

近位側の骨折部にピンが入らずやり直ししました。まあ、よくあることです。

手術後も同じですわ。




スズメ
8月15日


飼い猫が連れて帰ったそうです。大人になりかけ。一見すると元気そう。
尾羽がありません。猫が抜いたんだろうと思ってよく見てみると、新しい羽が生えつつあります。こんなに早く生えるはずはないので抜けたのは数日前?こんな状態だからつかまったのかな。
見た限りは外傷もないのでしばらく様子を見、ある程度羽が伸びれば放します。

と思っていたら翌日に死亡しました。
剖検で腹腔内に腸内容の漏れと膵臓の異常を確認しました。すなわち、猫による損傷があったみたいです。やっぱり猫が関係した保護は予後が悪い。




ドバト
8月13日


足の指が動かなくて飛べないドバトを飼っている人がいる、何とかならないか?と言う話が友人の獣医さんから回ってきました。
足と飛ぶのは関係ないだろうし、テグスなどで片足が切れていても生きていくのに支障はない、元気なら公園においてきたら?って返事をしたら飼育してる方が見せに来られました。
ヒナ(というよりほぼ大人)でした。先天性奇形?で立てず、飛節(かかと)で着地します。ボチボチ飛べそうです。
小さなお子さんもおられるのでこのまま飼育するのは公衆衛生上の問題がありそう、もうすぐ飛べるのでこのまま放鳥したらどうですか?って話をしました。

2週間ほど前にひらわれたそうです。それからずっとアワダマを与えていたそうです。ヒナで飛べないという認識はなかったそう。よく見ると産毛があちこちに残っているし、なによりピーピー鳴くのでその時点でヒナと気付くかと思いましたが、大人だと思っていたとか。飛ばないのはヒナだから、と言う理由でした。知らなければわからないものですね。

生きていけるかどうかは本人次第。足が悪くて人慣れしているので、このまま放鳥してもまた善意の保護があるかもしれません。かといって、このままいつまでも飼い続けるわけにはいかないしなあ。




オオルリ
8月7日


堺市南部の、いわゆる里山で拾われたそうです。
山で見ることはあっても手にするのははじめて。ひじょうにきれいでかわいい。
かなり痩せています。が、最初からすり餌を自分で食べます。羽の状態も不自然に痛んでいるし、飼育個体という可能性があるんでしょうか?ないんでしょうか?
羽の様子から年令がわかると思うのですが、私にはさっぱり知識がありません。バンダーの虎の巻みたいなのには細かく書いてあるようです。
専門家にこの画像を見てもらいましたが、飼育個体かどうかの判断は出来ませんでした。
そういうつもりで見ていると、警戒心がすごく強いし、やっぱり野生個体かなあ。

両翼とも初列の最初がなく、新しい羽が生える途中。見にくいが尾羽も途中で折れている。




イタチその後

完全に離乳してどんどん可愛くなるけど、どんどんイタチになってきました。すごく香ります。
この子も飼い続けるわけにはいかない。さて、困った。というか、行くところがなければ、ぼちぼち放獣せざるを得ないでしょう。
どなたか、飼ってみますか?




ムクドリその後
8月2日


すっかり大人。
だが、手に乗ったり頭に乗ったり、一日中エサをねだっていて野生に戻れるのか、極めて疑問。慣らすなというけどムクドリはいつもこんな感じみたいです。
でもまあ、飼い続けるわけにもいかないので来週には放鳥予定。




またアブラコウモリ
8月1日

またまた別の獣医さんの紹介です。
今度も子供で今度は3gの♀。
ミルクの飲みが悪いのでちょっと心配。




アブラコウモリ
7月28日


近くの獣医さんの紹介だそうです。うーん、コウモリと言っても、趣味で洞穴性コウモリを見て回っているだけでアブラコウモリは管轄外なのに、飼育相談から駆除の相談まで来ます。まあ、おかげでいろんなケースを教えて頂き、私の方が勉強させてもらっています。
今年は特に相談が多いように思います。興味がある人が増えたのか、たまたまネットで私のページがひっかかるようになったのか、実際アブラコウモリが増えているのか。
4gの♂の子供。飼い猫が連れて帰ったそうです。翼が何カ所か穴が開いていますが大きな傷ではありませんでした。
例によって例のごとくミルクとミルワームで様子見です。

*残念ながら翌日に死亡しました。



一応、ヒヨドリ
7月27日


犬の散歩に出かけたスタッフが、ヒナが死んでいる、ってすぐに帰ってきました。
行ってみると一人はすでにセンベイ状態、残り二人がすぐ横に死んでいました。

かわいそう。
ご想像の通り、街路樹から落ちたようです。で、その原因は枝の剪定です。切る前に気が付かなかったのか、気が付いていたけど無視したのか。鳥の巣なんて、いちいち気にしていられないのか。
死体の感じからはおそらく今日に死亡。剪定は昨日午前中。

病院の横、8mほどの街路樹でしょっちゅう下を通っていましたが気が付きませんでした。




ヒヨドリ
7月22日


道路の中央分離帯で寝ていたそうです。
尾羽が半分ほどありません。来た時は動きませんでした。レントゲンでは異常を見つけられませんでした。
翌日から少し反応が出てきてミカンを食べ始めました。また、左翼を下げながら飛べるようになりました。たぶんこういうのは事故なんでしょうね。
数日で放鳥できそうです。

*7月末に無事放鳥しました。



ヒナコウモリ
7月19日


あちこちに書きましたが、保護ですので一応こちらにも掲載しておきます。
ヒナコウモリ、♂、幼獣です。元気にコオロギを食べているそうな。
すごく懐かしい顔。
そういえば東京都内でも妊娠したヒナコウモリの保護例はあるので結構都会で繁殖しているのではないでしょうか?
一番知りたいのは2002年にバンドした子と血縁関係があるのかないのか?
2,3度現地へ行きましたが繁殖している場所を探すのは非常に困難そうでした、というよりあきらめました。もうすぐ分散の時期。みんなどこへ行くんでしょうね。特に今年生まれのこういう子は行くところがわかっているんでしょうか?




放鳥、途中経過
7月19日


スズメのイチローちゃん、1.5ヶ月飼育してやっと放鳥しました。
長かった。幸か不幸か、さっぱり慣れませんでした。


ドバトは元気になってちょっと飛ぶようになったので即放鳥。

イタチのおはぎちゃん(最初から付いていた名前です)、育っています。香ります。
イタチの飼育書なんてありません。フェレットは普通は避妊、去勢されて売られているので繁殖の話は聞いたことがありません。
最初、目も開いてないぐらい小さいと思っていましたが調べると違うんですねえ。
犬猫と育ち方が全然違うようです。

フェレットの資料から類推すると
・8−10gで生まれる。
・7日で30g、14日で6−70g、21日で100g
・歯が生えるのは20日(目が開く前!)
・目が開くのは30−35日(歯が生えてから)
・21日から肉を食べ始める
・35日からは主食は肉でミルク併用
・6−8週で離乳
・4ヶ月で成体の大きさ

ということらしい。
となると、保護時すでに2週齢ぐらいだったみたいです。

三重のフェスティバルに連れて行ってました。
専門家の方にお見せしましたが、しっぽをつまんで悩んでおられました。チョウセンイタチにしてはしっぽが短すぎるのです。でも、出身地を言うとニホンイタチは絶対ない、って断言されます。
骨にならないとわからんのですかねえ。



ドバト
7月15日


飛べないというので保護された子を、知り合いの獣医さんから頂きました。
少しさわると呼吸困難になります。レントゲンを撮ると気のうが真っ白でした。

右は真っ白 左はモザイク

気のうのスペースがほとんど無い。でも元気。

普通に食べているし、痩せてもいない。
これだけが飛ばない原因かどうかわかりませんが、わざわざ捕まえる必要あるのかなあ。走るのだけでも結構早い。(ただし持久力はないみたい。)


*数日後、無事放鳥しました。



ムクドリ
7月11日


またムクドリが来ました。2,3日、ミルワームだけで生きていたらしい。
仕事しながら給餌は無理というので引き取りました。
まあ、元気です




カワラヒワ
7月10日


ネットでの問い合わせです。画像を拝借しました。
カワラヒワは問い合わせが比較的多い。黄色のラインを見ればそれとなくわかると思うけど。
私は一度保護したけど育てられませんでしたが、けっこう育つらしいです。ペットになった子の話は時々聞きます。

この子も、放せますか?って聞かれたけど、まあ、ペットでもいいんじゃないですか?




チョウセンイタチ
7月6日


イタチの赤ん坊が来ました。大阪市内の工業地帯ですのでおそらくチョウセンイタチでしょう。
外来種で屋根裏に住み着くと害獣扱いにもされます。ですが、まあ、赤ん坊は何でもかわいいものです。
とりあえずは猫ミルクを与えつつ様子見。目が開かないぐらいなのに歯はりっぱに生えています。

姿も香りも、いかにもイタチです。