野鳥カルテ           
2004年  4−6 

2001年 9−12
2002年 1−3 4−6 7−9 10−12
2003年 1−3 4−6 7−9 10−12
2004年 1−3 4−6 7−9 10−12
2005年 1−3 4−6 7−9 10−12



再会したスズメ     6月26日
再びスズメ        6月24日
スズメ           6月8日
ヒヨドリ          6月4日
タヌキの子        5月*日
キジの死亡        5月28日
ゴイサギの死亡     5月24日
ドバト           5月22日
キジ続々報       5月22日
キジ続報         5月14日
キジ            5月10日
スズメ           5月7日
ハシブトガラスの解剖 5月9日
ムクドリ          5月2日
埼玉のハシボソガラス 4月28日
ドバト           4月28日
ハシブトガラス     4月23日



再会したスズメ
6月26日


足が骨折した小スズメを見て欲しい、と連絡がありました。見せてもらうと今はやりの(?)足の奇形です。羽をふくらませて低体温。かなり衰弱しているので ”おそらくダメですねえ” 、といいつつ詳しい話を聞くと24日に保護されたスンちゃんの兄弟だというのです。24日に連れてこられた方は確かに、もう一つおかしい子がいたけど見つからなかった、とおっしゃていました。話をつなぎ合わせると先にこの子が保護され、ついで24日のスンちゃんが保護されてうちに先に来たという事らしいです。この子は近所の「鳥好きのおじさん」に預けたけど今日になって足が骨折していて元気がない、ということで返されたそうです。
2日ぶりの再会でしたが数時間後には再び悲しい別れになってしまいました。




再びスズメ
6月24日


来ると続くのか、再びスズメが来ました。おまけに症状も一緒。両足が開脚し、指は閉じたまま。
話を聞くともう1羽いたがその子はどこかへ行ったそうです。この子だけ足が悪くて、付いていけなかったのでしょうか?
こういう子が続くと、どうしても環境汚染とつなげたくなります。採血して血液検査というのも困難、第一、材料を受け入れてくれるところがあるのかどうか。
スズメなら材料も集めやすいし研究材料にちょうど良いような気がするんですが。
そういえば岐阜大学でダイオキシン等の研究に使っていたのはカラスにウ。どちらも有害鳥獣で駆除しているので材料が集めやすいんでしょうね。体が大きいと材料もそれだけたくさん取れるでしょうし。





スズメ
6月8日


今年初めてのスズメでした。
足が変形していて歩いたり、止まったり出来ません。
とりあえずは給餌しながら様子見です。といっても、足が治る可能性はないでしょうねえ。




ヒヨドリ
6月4日


「奇形で足がくっついている、」と、ヒヨドリのヒナを連れてこられました。この状態で巣から落ちてきたらしいです。

よく見るとビニールひもが足に絡んで動けなくなっていました。ヒヨドリはビニールひもが大好きで、よく巣の材料に使います。それが原因でした。自分で裂いたのか、最初からそうだったのかわかりませんが、すごく細いひもが何重にも巻き付いていました。
腫れた足が元通りになるかどうか心配でしたが、近くに巣も親の姿も確認出来ているそうなので親が面倒を見るかどうか、観察してもらう事にしました。
予定通り親がエサを運んでいる、との報告がありました。
でも、梅雨入りしてここ2,3日、雨がひどいのであの足で巣立ち出来たのかどうか、ちょっと心配です。




タヌキの子
5月*日

まわりまわってタヌキが来ました。
体重120g。おそらく生後2−3日。
話を聞いていると誘拐のような気もしましたが、かなり複雑な事情があり元にも戻せず、とりあえず預かる事に。預かってもこれ以上うちも飼えず。もらい手もない事は以前に実証済み、かといってこのまま安楽死も何となく気が引ける、ということでまたまたズルズルとミルクを与える事になりました。
ほとんどミルクを受け入れず、注射器で飲ませていましたが3日で死亡してしまいました。

とにかく最近のタヌキの増え方は普通じゃない?しょっちゅうタヌキの話を聞きます。逆に、これだけ増えれば人慣れしたタヌキでもそこらへんに放獣出来る、というのは不謹慎でしょうか?

と思ったら、アセスをしている友人から聞いた話では、丹波篠山では夜に会う哺乳類はアライグマがほとんどでタヌキがいないとか。
外来動物は懸賞金を付けて駆除する方がいいのでは?というのは簡単だけど、拡大解釈していけばミドリガメからドバト、ハクビシン、ヌートリア、チョウセンイタチ、・・・・・・・、捕っても捕ってもきりがないでしょうね。




キジの死亡
5月28日


残念ながらキジも死亡しました。
屋外ケージに入れて様子を見ていましたが餌を食べている様子がなく、痩せてきたので再び強制給餌に切り替えましたが復活はしませんでした。

元気になれば鬼ヶ島へ連れて行ってもらおうと思っていたのに、たいへん残念でした。(ちょっと話が違うような気もするけど。)
剖検でははっきりした死因は確認出来ませんでした。単純な衰弱か、やはり足の化膿か。皮下に脂肪がかなり多く、知識があればおいしく戴けたんだろうなあ、と思いました。それも残念でした。

キジは死して標本を残す。フルセットですね。
試験管はDNA用のサンプル、袋は内臓。




ゴイサギの死亡
5月24日


1月から飼育していたゴイサギが死亡しました。この子もネットを通じて来て下さいましたので、こちらに報告させて頂きました。
自宅の ”バードケージ” に収容していましたが毎日食事を入れるだけで、あまり面倒を見ていたというような状態ではありませんでした。向こうもあまり友好的ではなく、近寄ってきて欲しくないようでしたので

小屋と言うほどではなく、簡単なスペースを隅に作っていましたがいつもその上に止まっていました。雨が降るとぬれる状態。小屋の中なら雨はしのげたんですけど。

水鳥を水がない状態で長期飼育すると羽の撥水性が失われます。この子も長期飼育でそういう状態になっていました。水盤に水は張っていましたが積極的に浸かる、というような事はしませんでした。
5月は雨が多く、そのたびに体が濡れて体力を消耗していたのかもしれません。


キジの方は結局卵は全滅、でした。
”バードケージ” が期せずして空いてしまったので、とりあえず意味がないと思いつつ飼育してみるつもりです。



ドバト
5月22日


ネットを通じて連れてきて下さったので、こちらへ報告させて頂きます。
神経症状の出たドバトです。都市公園で、カラスにいじめられていたので保護されたそうです。
何回かここに書いている、おそらく脳炎のドバト。ガリガリに痩せていました。ごはんを食べたくても目の焦点が合わないらしく、エサからはずれたところをつついています。

ドバトを助けるのかどうかはいつも議論になるところです。ある人は空飛ぶドブネズミ、と呼んでいました。オウム病やクリプトコッカスはじめ結構病原体を持っているらしいです。

いわゆる大自然なら、弱肉強食で淘汰されるべき動物を救う事は御法度でしょう。でも都市公園ではそういう事もないでしょうしいじめられていたら助けたくなりますよね。

治療しても治る可能性はほとんどありませんし、積極的に安楽死するのかどうか迷っているうちに2,3日で死亡しました。死んでほっとするとともに、ほっとした自分自身に対して罪悪感を持ってしまいます。




キジ続々報
5月22日


ライトに当てていた卵は全滅のようでした。
60Wでは温度があまり上がらないので100Wにしたところ、今度は強力すぎて温度、湿度管理が出来ずにどうも腐ってきた感じがし、あきらめて標本にしてしまいました。

数日前に、母親を体重測定のために連れ出したところ、翼の根元と首にゴムがたすきがけに掛かっているのを発見しました。髪の毛をくくるひものようです。翼側は皮膚に食い込み、化膿気味でしたが首の方はフリーでそんなにきつく締まっている感じはありませんでした。
羽毛に隠れているとはいえ、最初に発見してやれなかったのは申し訳なかったです。でも、運動を障害するほどでもないし、卵を産んで暖めていたのでこれが原因で動けなかったのかどうか。逃げ遅れて草と一緒に刈られてしまった遠因にはなっているのかな。

それと困っているのは自分で食事をしない事。鳥によっては保護した当日からバリバリ食べる子もいるし、全く食べない子もいます。鳥によっては1ヶ月以上強制給餌していたケースもあります。キジの食事は特殊でもないし、簡単に餌付くと思っていたのに自分では一向に食べる様子がありません。毎日、仕事の合間合間に強制給餌。ええかげん疲れたなあ。来週いっぱい面倒を見て卵に変化がなければあきらめようかなあ。
どなたか、食用で引き取ってくれないかなあ。




キジ続報
5月14日


母親は元気(?)にしています。
動けないから(?)一応は卵の上に乗っていますが暖めて転卵してくれているのかどうか。食べないので1日に数回強制給餌しています。
卵のレントゲンを撮ると一つは気室が拡大し、完全にダメなようでしたので標本に。また、卵が多すぎていつもいくつかはお腹からはみ出しているので、試しに一部は電球で暖めてみる事にしました。

真ん中の卵はダメらしい。 以前 ”保護した” 卵。ヒナの骨格が見える。

さて、いつまでこれが続くのでしょう?ニワトリは21日、でしたっけ?大学で勉強したはずですが記憶は遠い彼方です。
(うまく卵がかえったら今度はコウモリではなく、鳥で新聞に載れるかも。まあ、ほとんど期待はしていないのですが。)




キジ
5月10日


うちの病院のスタッフから "足がブラブラのキジ、いりますか?" と、電話がありました。鍋にしてから持ってきてもらってもいいけど、と返事をしつつ、とりあえず生きているなら見せてもらおうと思って連れてきてもらうと、

片足は先がすでに無く、もう一方は皮1枚。おまけに右翼も切断されていました。
畑の畦の雑草を、電動草刈り機で刈っているときに一緒に切ってしまったそうです。

というのもご覧の通り、卵を抱いていたらしい。こんな事はめったにないそうです。
何年か前に、どうしても畑を起こす必要があって壊した巣を、卵ごともらった事があります。保育器に入れて暖めましたがダメでした(いくつかは成長していましたが)。とりあえず写真の通り生きているうちは母親に任せて、もし母親が亡くなったら孵化に再挑戦してみます。

(巣は壊れてしまったので、これは ”人工的な” 巣です。)

やっぱり食べてやるのが正解かなあ・・・・・・。



スズメ
5月7日


友人のM先生の紹介で遠いところを連れてきて下さいました。ありがとうございました。
下腿骨の骨折です。こういう小鳥では、あまり足に頼った生活はしていないので骨折ぐらいなら人に捕まる事はないと思うのですが
事故直後で脳しんとうでも起こしていたのでしょうか?
下腿骨の骨折は接着剤で足のまわりの羽を固める事によってギプスの代わりをさせます。10日ほどでくっつきます。治療後、安静にしていると片足で止まり木にも止まれるようになりましたし、すぐに放鳥出来そうです。

収容直後は沈鬱状態。 見ての通りです。




ハシブトガラスの解剖
5月9日


4月23日のブトちゃんが死亡しました。
飛ばないまでもチョンチョン歩き、十分ではないにしろそこそこ食べており、また血液検査の数字も少し良くなっていたので
たいへん残念でした。
本来は収容時に血液検査とレントゲンを撮るべきところ、最初の血液検査で異常が見つかったので肝臓の治療だけをしていました。レントゲンは2,3日後に撮り、肺炎(と気のう炎)が見つかり、それ以降は抗生物質と強肝剤を注射していました。最初の治療の遅れが死亡につながったのかと反省しつつ解剖してみると、肺は膿瘍と壊死を起こしており、気のう全体も白くなっています。
よくこんな状態で今まで生きていたなあと驚いています。結果的には何をしても助からなかったでしょう。
犬猫なら呼吸器にこれだけ異常があれば呼吸困難とチアノーゼがあるでしょうけど、この子は平気な顔をしていました。
ちなみに今回の症例が鳥インフルエンザと関係あるのかないのかは、わかりませんでした。

左:正常な子    右:この子  見てのとおり真っ白(空気が入っていない、という事)

心臓、肝臓、腸管を取り除いたところ。
左右上部に白く肺の壊死部
中央下の丸いのは精巣(一つは除去)
その両側赤いのが腎臓(3対)

今回の死亡、病気とは関係ないけど条虫が見つかりました。




ムクドリ
5月2日


家の前で用事をしていたら、目の前の車にぶつかって落ちてきたそうです。よそ見でもしながら飛んでいたのでしょうか?
鼻出血があり鼓膜も腫れています。が、嘴も含めて骨折はありませんでしたのでしばらく安静の後、放鳥出来ました。




埼玉のハシボソガラス
4月28日


HPをごらん下さった方からメールを頂きました。
詳しい状況や状態もお教え下さいましたが簡略に転記させて頂きますと、
・家の近くで飛べないカラスを見つけた。右の翼がおかしいらしく、飛べないので子供さんと網で捕獲。
・近くの獣医さんで見てもらったところ上腕骨の骨折といわれ、テーピングをしてもらい(テープで翼を胴体に固定)、1ヶ月置いておくように言われた。
・私のHPでは鳥の骨折はレントゲンを撮り、たいてい手術しているがこの治療法で飛べるようになるのだろうか?
ということでメールを下さいました。

翼の骨折で翼を固定する方法は専門書でもよく見かけます。でも、私自身は手術後にテーピングで一時固定する事はあっても、最初から、折れ方がわからないのに固定する事はしていません。ただ単に私がその技術を持っていないからだけかもしれません。また、HPに掲載するのにレントゲンがないと寂しいから、かな。

いつも言うように、野鳥の骨折は100か0しかない、すなわち100%の機能回復が望めないなら治療する意味がない、という極論すら持っています。そういう意味では私の治療成績はかなり低いので恥ずかしい限りです。この子の骨折が結果的にどうなるのか、興味津々に続報を待っています。結果オーライで、テーピングだけで飛べるようになるなら私の治療論理(?)が根底からひっくり返りそうです。

この例に限らず、骨折にしても内科的な病気にしても、治療方法というのは100人の獣医さんがいれば100(は言い過ぎかな?90ぐらい?)のやり方があります。治療方法については正解というのはなく、結果がすべての世界。

鳥の骨折は何が何でも手術、うまくいかなかったのは折れ方が悪いとか鳥の側の問題、というようなニュアンスで私のHPには書かれていると思います。まあ、自分のHPですのでウソは書かないまでも、ある程度の誇張や言い訳、自慢(?)はあるわけで、また、当然都合の悪い話は掲載しないでしょう。そのあたりは適当に話を割り引いてお読み下さい。

骨折の手術は一見するとハデですが、犬猫よりよっぽど簡単で骨もくっつきやすい。問題は固定による関節の固定と筋力の低下です。そういう意味でも翼のテーピングには私自身は否定的です。
最初からあきらめてペットとしての道を選ぶならテーピングか、小鳥ならほったらかし、あるいは私の得意な断翼・・・・・。

えこひいきはいけません。が、ハシボソはかわいい。
ほめるなら、これだけ最低限のテーピングで翼の固定が出来、骨折が治せるのはすばらしい
技術です。悪口を言うならテープが下すぎて腹部を圧迫している可能性がある事、大腿骨まで
ずれると歩けなくなる事、が気になります。結果がすべて。1ヶ月後に答えが出るでしょう。




ドバト
4月28日


小学校5年生の女の子二人がタオルに来るんで何かを連れてきました。”公園で・・・”というところまで聞いて猫でもひらって来たのかと思っているとドバトでした。
おそらく咬傷でしょう。そのう裂傷で、預かりましたがすぐに死亡しました。

それより、へー、と思ったのが二人の名前。もちろん野鳥でも、後日のためにカルテを作ります。一人は ”未来” と書いて ”ミク” 、もう一人は ”セイラ” 、いうので ”どんな漢字?” と聞くと、”星という字に羅生門の羅
” 、という返事。小学校の女の子から羅生門という言葉が出てきてびっくりしました。いつも聞かれているんでしょうね。
私的には ”80へー” ぐらいかな。

翌日、二人そろって、花を持って様子を見に来てくれました。




ハシブトガラス
4月23日


カラスが来るというので巣立ちヒナかな?と思っていたら立派な成鳥が来ました。
ぴょんぴょん跳ねるだけで飛びません。が、翼が折れている様子もありません。お勉強してきたとおり採血すると肝酵素の値がすごく上がっています。毒物でも食べた?
とりあえず元気なので給餌して様子を見ています。

えさ入れはひっくり返すしもちろん水入れも同様で、悪さをする元気は一人前。
もう少し前ならすぐに鳥インフルエンザの検査用に安楽死されたんでしょうね。そういえばまだカラスを捕獲しているのかなあ?一応は野鳥救護ドクターに指定されているので、カラスがきたら材料として提供する義務があるのかないのか。
そういえば友人が野鳥の死体を手に入れたので行政に連絡すると ”もういりません。ゴミで処分して下さい。” って迷惑そうに言われたそうです。あの騒ぎは何だったんだろう?