野鳥カルテ           

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ユリカモメのその後
12月8日


いくらか足を使うようになったのでこのままよくなるかと思っていましたが、一進一退で、回復、というのも望めないようです。飼育が長期になり撥水性はほぼなくなり、ますます放せそうにありません。
魚食性の鳥はウンコのにおいがものすごく、ペットとして飼うのもむつかしい。
結論とすれば安楽死もやむを得ないかなあ。

実は初代ユリちゃん、一時岸和田の自然資料館に出張していましたが7月からこちらに戻っていました。そして、この子が来た前後に急死しています(原因はわかりませんでした)。いわば生まれ変わり。

初代ユリちゃんのようにキャットフードに餌付いてくれれば糞のにおいもマシなので飼えなくもないかも。ということで強制給餌をやめてキャットフードを入れてみました。
でも、本来の食事と違う食生活とストレスで無理がかかって、初代ユリちゃんが早死に(?)したようにも思うし、岸和田でみんなにかわいがられて展示用に飼育するのと、うちでカゴの鳥で1日過ごすのとでだいぶん違うようにも思うしなあ。




レース鳩
12月8日


通りがかりの人が、 ”あっちに飛べないハトがおったでえ、伝書鳩ちゃうかなあ”、って教えに来てくれました。ドバトとちゃうん、と思いつつ、言われた以上ほっとく訳にも行かず行ってみると、おっしゃるとおり足輪のついたレース鳩でした。
ガリガリに痩せてかわいそうな状態でした。
幸い連絡先が書いてあり、近くでしたのですぐに取りに来て下さいました。レース後で消耗している、との話でした。とりあえずはよかった。
連絡しても、迷子になるようなハトはいらない(使い物にならない)とのことで、取りに来ないケースもあるらしいです。




ユリカモメは中毒?
11月25日


ユリカモメ、元気そうに見えますが起きられません。
食事にキビナゴを持ってきて下さったのでとりあえず冷凍し、次の日与えようと思うとやわらかい。一瞬、冷凍庫が壊れたのかと思い、他の物を見ると凍っています。容器に入ってて冷気が伝わらなかったのかと思いつつその翌日に見るとやっぱり凍っていません。ハタと気がつき、メーカーに問い合わせるとやっぱり不凍処理しているそうです。

私も一時、太刀魚釣りに凝っていたことがあります。釣りに行く数時間前に冷凍庫から冷蔵庫、もしくは室温で解凍していました。今はその手間を省くため、キビナゴやエビ、オキアミなどもプロピレングリコールやグリセリンなどで凍らない処理をしているそうです。使っているのは食品添加物なので安全です、って話をしていましたが、おそらくこれが原因では?

文献を探しましたが鳥に対するその手の毒性はわかりませんでした。けど、経過から考えるとこれが一番怪しい。
どなたか、ご存知の方、おられませんか?

ちなみに血液検査のデータは Ht 37.4 %  TP 6.3 g/dl  ALP120 GPT 230 Glu 600<
TPが高すぎるのが何を示しているのか(単純な脱水状態?)。
鳥では血液を採ってもデータが少なすぎて判断しづらいです。



ユリカモメ
11月22日


14日に泉大津の河口で保護されたそうです。お決まりの釣り糸です。幸か不幸か、針を飲み込んだりはせず、とはいえ、(写真を見せて頂くと、)たいへんひどく絡まっていたようです。

自宅で看病していたが、ずっと食事も取り元気にしていたのに急に立てなくなった、との事で連れてきて下さいました。

(送っていただいた写真です。)


野鳥が助かるかどうかは、餌付くかどうかにかかっているとも言えるでしょう。強制給餌でも吐きもどさないで消化してくれるならとりあえずはほっと一息、というところです。
今までの経験ではカモメ類は、元気なら簡単に餌付いて食事に苦労した経験はあまりありません。そういう意味でも1週間も自分で食事しながら、急に具合が悪くなるというのはなんだか嫌な感じです。

来て頂くと、さわっただけで痩せているのがわかります。体重が160gしかありません。うちのユリカモメでも、やせ気味でも300gはあります。相当長い間食べていなかったんでしょう。でも、1週間も食べていたのに肥えられなかったのは何ででしょうねえ。
とりあえずレントゲンと血液検査、さらに輸液用の針を骨髄に挿入し様子を見ています。

足が麻痺して起きられない。 尺骨に注射針を刺入して点滴する。
(*針の刺入部分が違う!本来は反対側)




アブラコウモリ(女の子、やぱりアブちゃん)
2004年11月15日


(22日に死亡し、別にページを立ち上げました。こちらへどうぞ。)

12日に、「家でコウモリを保護したが飛べない」、との電話を頂きました。
寝ぼけて室内に出てくるコウモリは多くて、普通は夕方になれば出て行きます。先日来た電話は、「怖くてさわれない」という電話でした。電話のニュアンスからすると取りに来て欲しそうでしたが病気でもなさそうですし、「タオルにくるんで捕まえて、日なたに出しておけばそのうちどこかへ行きます」、って返事をしました。電話の向こうでは、それも出来ない、って半泣きでしたが、都会とはいえ自然の中で生きているんだから、虫やコウモリの一つ二つ自分で処置できなくっては生きていけないと思うんですけどねえ。まあ、私の常識は世間の常識とかけ離れている、とも言われるので最近は虫もさわれない人が普通なのかもしれませんが。

「骨と羽が痛んでいるように思う」、っておっしゃていましたが小さな穴なら自然にふさがるので「暖めれば夕方に飛んでいきます」、っていつもの返事をしましたが、やっぱり飛べないと言うことで今日に連れてきて下さいました。

見てみると片翼の指の一つが第1関節から先が無くって、それにくっつく翼がボロボロになっていました。さすがにこれでは飛べないし回復も無理ですねえ。

保護された方はいろいろご自分でも調べられ、ミルワームの嫁入り道具付きで連れてきて下さいました。ありがとうございました。

猫ミルクとミルワームで今のところ元気に過ごしています。

小指の第1関節から先がありません。 これぐらいの穴なら問題ないのですが。

ペットシーツに挟まって寝る。 食事中。




ジョウビタキ
2004年11月10日


かわいい。
猫が捕まえたそうです。尾羽がすべて抜けていましたが、外傷は見当たりません。
明日まで様子を見て放鳥 する予定 しました。

放鳥が続くというのは、近頃には、なかったことです。

尾羽も別に持ってきて下さったけど、植える訳にもいかないしなあ。




ヒドリガモの放鳥
2004年11月10日


ピンを抜き翼の状態も問題ないので都市公園の池に放鳥しました。
岸から数m飛んで着水しました。あとは自分でリハビリして下さいませ。
お友達もいっぱいいるし、パンでよければ毎日運んでくれるおっちゃん、おばちゃんがいますよー。




ヤマシギ
2004年11月6日


野鳥の会の関係者の方が連れてきて下さいました。ありがとうございました。
翼を下げて飛べない、との話でしたので、とりあえず翼のレントゲン。レントゲン的には骨の異常は認めませんでした。
体重が231g。触った感じではけっこう痩せています。けど、標準体重がわかりません。

保護後、コンポストの虫やミミズを大量に食べていたということなので、さらにお子さんがかわいがっておられましたので、給餌しながら2,3日様子を見れば飛ぶのではないか?と思いつつ、そのままお返ししました。
ヤマシギというのはどういう訳か、建物などにもよくぶつかる鳥で、脳しんとうのような一時的な保護が時々あります。そんな感じに思っていましたら、8日夜に急死したそうです。

外傷はなかったけど翼にばっかり気を取られていて他の異常は考えませんでした。レントゲンは数枚撮影しましたが異常は見つけられず。反省。
でも、基本的には給餌するしか知恵がないので他の治療法があったのかどうか。

今から思うと、翼は左右対称で外傷もありませんでした。

頂いた写真。りっぱなお家を造ってもらったのに。




ヒドリガモ (?)
2004年10月23日


天王寺動物園に電話をしたらうちを紹介されたそうです。ちょっとは有名になったかな。あるいは友人がいるので、たまたまその友人が電話を取って、紹介してくれたのか。いずれにしても、ありがとうございました。
大阪の南の方からからわざわざ連れてきて下さいました。こちらも、ありがとうございました。


いかにも冬のカモらしく、おいしそうに太っています。昔なら天からの贈り物で、ありがたく食べたんでしょうね。

狭くって申し訳ないです。明日にはもう少し大きなお部屋を用意します。


見ての通りの骨折です。手術も見てのとおり。あとは本人次第です。

翼、とう骨の骨折です。ピンを入れて固定しました。

というところで、実は同定で少し困ったことが。
段ボールに入ってるのを遠目で見た時は、小さいのでコガモだと思いました。出してみると少し感じが違います。
基本的にカモの♀はみんな地味で似ていて、あんまり自信がありません。野外ではたいてい♂と一緒にいるのでそれから類推しています。♀だけ見ても種によってはさっぱりわかりません。

で、この子ですが、どうもヒドリガモに似ているのに嘴が黒くて、あちこち調べても嘴が黒いヒドリガモはいません。季節で色が違う?、そんなことどこにも書いていない。
ちょっとした知り合いに画像を送るとやっぱりおかしい、って言います。普通、ヒドリガモの♀に似ていて嘴が黒かったらヨシガモの♀って決めることがあるらしい。ひょっとしたら合いの子の可能性があるのかも。

元気なら近いうちに博物館へ同定してもらいに行こうかなあ。台風がらみの、大阪初記録の珍鳥かもしれません。




メボソムシクイ
2004年10月13日


この鳥を保護された方は皆さん、ウグイス、っておっしゃいます。
最初電話をもらった時、ひょっとして?、と思っているとやっぱりメボソムシクイ。(でいいのかなあ、ムシクイという所まではわかるけど100%の自信はないです。)
特に今の時期に渡るので、その途中に事故に遭うようです。
下の嘴は折れ曲がり、上の嘴も骨折しています。アロンアルファで固定しましたが次の日、亡くなってしまいました。
固定後、結構鳴いていたのでかすかに期待していたのですが。




ドバト
2004年10月8日


ドバトが来ました。かなり痩せてはいますが、来てすぐ死ぬほど餌を食べました。で、次の日に亡くなりました。


歩くけど飛びません。沈鬱状態です。かといって、羽の異常はなさそうです。
初診時にレントゲンと血液検査。血液検査ではこれといった異常はわかりませんでした、というより、まだ経験も浅いし参考文献も少なくて検査はするけど判断基準がよくわかっていません。
レントゲンではなんやらおかしいなあ、とは思ったけど、確定診断は出来ませんでした。


亡くなったので剖検してみると

おなかの1/3を占める化膿巣がありました。こんなん持っていたら具合も悪いでしょうねえ。
でもこれだけ大きくなるまで生きているのも不思議、前日にきっちり診断できなかったのもくやしい。
右の写真は参考までに。胃腸を取り除いたおなか(背中側)です。
やっぱり病理解剖は必要ですねえ。原因菌まで突き詰めれば良いんでしょうけど、検査は外注になってかなり費用がかかります。残念ながらそこまで追求する予算がありません。そういえば、ドバトでこういうのはよく見ます。
ドバトで特有なのか、他の鳥でもあるのか。まだまだ勉強不足です。