野鳥カルテ           

2003年  4−6 

2001年 9−12
2002年 1−3 4−6 7−9 10−12
2003年 1−3 4−6 7−9 10−12
2004年 1−3 4−6 7−9 10−12
2005年 1−3 4−6 7−9 10−12




ヒヨドリ          6月19日
スズメ(の子)      6月19日
セグロセキレイ幼鳥  6月17日
ハシブトガラス      6月11日
スズメ           6月9日
スズメ            6月5日
ツバメ            6月2日
ハシボソガラス      5月28日
ハシボソガラス      5月13日
アオバズク        5月7日
ツバメ          4月11日
ヒヨドリ          4月7日
ユリカモメその後V  4月5日





アイガモもらって下さい
2003年6月23日


まわり回ってアイガモを2つ引き取る羽目に。
原則的にペットの引き取りは一切しないんですが。
欲しい方はぜひご連絡下さい。完全な大人ではないけど、中ヒナとも言い難い大きさです。
本来は家禽なので食べる、というのも選択肢に入るんでしょうか?




さらに訃報と
2003年6月23日

残念ながらヒヨドリが亡くなりました。
スンちゃんを放鳥しました。
が、しばらく飛んだあと帰ってきました。完全に手乗りスズメになってしまいました。野鳥は馴らさないのが鉄則、というのに・・・・。

これではとても野生とは言い難い。




報告その2
2003年6月20日


セグロセキレイが死亡しました。ちょっとずつ足を使うようになっていたのに残念です。
亡くなった子は向学のため、なるべく解剖し、標本として博物館に収めるようにしています。
”やさしいプーちゃん” でしたが、保護したときに歯が入ったらしく、胸腔に穴が開き、化膿していました。鳥は羽毛があるので外傷とその重大さがわからない場合も多いです。2002年5月にも頭部が化膿したハシボソガラスがしばらく元気にしていました。結果的には死亡原因もはっきりして、早く発見しても助からなかった可能性が高いですが、なんとなく落ち込みます。

9日のスンちゃん、元気に大きくなったのはいいけど、人の顔を見るとエサをねだっています。こんなんで野生で生きていけるのでしょうか。ほったらかしにすれば仕方なく、すり餌や下に転がっているミルワームを食べています。
カゴの鳥で一生飼うわけにもいかないし、ぼちぼち放鳥しないと。




ヒヨドリ
2003年6月19日


豊中から連れてきていただきました。遠いところ、ありがとうございました。
以前、ネットを通じてコサギの保護で連絡を頂き、事情があってこちらから引き取りに伺ったケースがありました。
その方が保護され、今回はわざわざ連れてきて下さいました。
一見してムクドリと思いましたが、よく見るとおっしゃるとおりヒヨドリでした。朝に電話を頂き、夕方まで連れて来れない、とのことでしたのですり餌を与えるように伝えました。しっかり面倒を見て下さっていたようで元気な子でした。が、今回も猫が保護に関係していたらしく、きのう損傷を起こしていて体の一部に空気が漏れていました。
とりあえず空気を抜いて給餌しつつ、様子を見ています。




スズメ(の子)
2003年6月19日


ネットを見て連れてきて下さいました。道路脇で保護されたそうです。Kさん、遠いところをありがとうございます。
電話では ”骨折して飛べない” 、とのお話でしたが、見せていただくと ”衰弱して動けない” 、と言うのが正解でした。

結構大きな子で巣立ちヒナというより大人に近い子でした。羽を膨らませて呼吸も荒く、保温、輸液をしましたが残念ながら亡くなりました。
参考のため剖検しますと腹腔に出血しており、おそらく何かに衝突したのが原因と思われました。

実は午前中にも別の方からヒヨドリで電話を頂きました。
大阪府の場合は緑の環境整備室で、近くの野生鳥獣救護ドクターというのを教えてもらえると思いますし、それより電話帳で近くの獣医さんに片っ端から電話すれば、そう言う病院が見つかると思います。
行政の方でも自分で診療するわけではなく、動物病院に押しつけるだけなんだからそう言う制度をもっと宣伝してもいいのに。
ちなみに、市民から連絡があるとわざわざ引き取りに行き、うちまで連れてきて下さる府の出先機関もあります。Hさん、いつもありがとうございます。




セグロセキレイ幼鳥
2003年6月17日


都会のマンション6階で、やさしいプーちゃん(室内飼いの猫)が、おそらくベランダから連れて帰ったそうです。ふだんは小鳥にも負けるような子なので、よっぽど弱っていたのを見かねて連れた帰ったらしいです。
セグロセキレイの幼鳥です。

飛ぶ練習をしていてここに迷い込んだのでしょう。ベランダで繁殖したのかと思い、巣を調べてもらいましたが見つからなかったそうです。
大きな外傷はありませんが足の麻痺があります。とりあえず安静と保温、強制給餌で様子見です。




まとめて報告
2003年6月17日



こないだのハシブトガラス

足が不自由で体を支えられません。動こうとする度に体が傾き、羽をばたつかせます。3点支持ではないけど足と尾で3角形を作られればもう少し安定すると思い、後ろを向いている足(骨)を切断、乾燥した部分を切り取り180度回転させてプレートで固定しました。プレート一枚2万円、ネジは1本2000円!(×4本!)

今日の様子では足と尾で体をささえていい感じ。
ただし、骨折の手術というのは術後が一番きれいで、問題が出てくるのはこれから。 壊死した部分を手術しているのでくっつくのかどうか。

手術前と手術後。包帯は指が、すのこに入り込まないように巻いている。

そばを通るとエサをねだる。



骨折のハシボソ

ピンを抜きました。骨折部はくっついたのですが、肘関節が関節炎を起こしており伸びません。
本人もリハビリの気配が無く、歩いて生活してます。
残念ながら野生復帰は難しいかも。

時々左の翼を下げる。



2日のツバメ

元気にエサをねだっています。やっと自分で食べ出しました。
羽はやっぱりダメなようです。

ツバメの嘴ってこんなに扁平なんですね。


5日のスンちゃん

11日に無事放鳥。

9日のスンちゃん

晴れたら放鳥予定。

うちの育て方。直接そのうへすり餌。 すっかり大人に。


大昔のユリカモメ


皆さん、覚えてくれているんだろうか。元気に居候しています。

夏なのに頭が黒くならない!




またまたカラス
2003年6月11日


今度はハシブトガラスのヒナです。
他の病院でも見てもらったらしいですが、”骨折が曲がってくっついている、育たないのでほかしたら?(???)”、と言われたそうです。
おそらく先天的な奇形で、うちでもハシブトガラスで何例かありました。巣立ちの時期までは何とか育つけどその頃に巣から落ちるか、親が見放すらしいです。環境ホルモンとか、生ゴミをあさっているならば合成添加物なんかと結びつければ新聞ネタになるんでしょう。
やっぱり障害があるので痩せています。足は床ずれで骨が見えています。
とりあえずしばらく育てて里親探し、と言うことになりそうです。
近寄るとガーガー鳴いて口を開けるので、給餌は比較的楽です。

両足とも不自由です。片足だけなら野生でも生きられるんでしょうけど。




さらにスズメ
2003年6月9日


スズメのヒナを持ってきて下さいました。りっぱなお家付きで、落ち着いているのでそのまま頂きました。
小さいけど元気です。

下記のスンちゃん(スズメはみんな同じ名前。スタッフに違う名前をもらっていたけど忘れてしまった。)は元気で、自分で食事をするようになりました。それに対して、ツバメは1日ご飯をねだります。
ここのところ、仕事はK先生に任せっきりで、いちにち鳥にご飯を与えているような気がします。




スズメの子
2003年6月5日


やはり春なのか、スズメの子が来ました。例によって保護したのは患者さんの猫。
一見元気そうですが足の付け根が広く剥離(皮が剥けた状態)しています。とりあえず縫合して抗生物質の投与。
猫が関係した傷は成績が良くないのでここ数日が山?
今は飛べるので、放鳥してしまえば成績アップにはなるのですが。

この子は6月11日に放鳥しました。考えてみると久しぶりの放鳥でした。



ツバメ
2003年6月2日


鳥獣保護活動をしているとツバメの巣立ちヒナがよく来るというけど、当方は地域性からか、あまり来た経験がありませんでした。
今回はかなり遠方から持ってきていただきました。自宅でいつもツバメが巣を作るそうです。いつもは問題なく巣立つそうですが、今年はすでに3頭が死亡し、残ったこの子も巣から落ちるし、ヒヨドリぐらいの大きさの鳥がこの子をねらっていた、ということでした。

どういう訳か、片翼は全く普通ですが、片翼が羽が全くなく、針状の羽が生えつつあります。尾羽も全くありません。何らかの事故で羽が抜けたにしてはきれいすぎます。原因は分かりませんがとりあえずミルワームを与えています。骨折等の外傷はないので少しは期待できるかな。


その後、新しい羽が生えるシリから抜けることが判明しました。
やっぱり先天的な異常があるようで、放鳥できる可能性はなさそうです。
自分でご飯を食べることをしないので毎日給餌しています。

この状態まで伸びると抜けてしまう。




またまたハシボソガラス
2003年5月28日

またまたハシボソガラスの子供で上腕骨開放骨折。
元気そうですが痩せています。
ピンニングとワイヤで固定しました。横骨折ならピンだけでは回転するのでやっかいやなあ、と思っていたらちょうどいい具合に一部が斜めになっていて(斜骨折)回転が止められるようでした。
その日から食事をする子もいますがこの子はシャイで緊張気味。

次の問題はまず餌付くかどうか、ついで傷が化膿しないかどうか、さらに骨がくっつくかどうか、そして関節が固まらないように、と問題はいろいろ。

手術前と 手術後

同じく手術前と 手術後




ハシボソガラス
2003年5月13日


(ハシボソ、って書いたけどちょっと不安になって画像を専門家に送りました。ハシボソ、っぽいけど、画像だけでは100%断定できない、って言われました。親を見るか、もう少し成長しないとわからないみたい。雰囲気はハシボソ、っぽいと思うのですが。)

和歌山からインターネットを見て来て下さいました。遠いところ、ありがとうございます。
小学生がひらって、しばらく学校に置いていたそうです。近くに親らしき姿もあったそうですが、まだ巣立つ大きさでもないのでなんかの事故で落ちたのか、親に見放されたのでしょうか。
その後(といっても、長期間飼育していたわけでもなさそうです)、飼育中にケージのワイヤか何かがからんで羽を損傷したそうです。
片翼を完全に下げています。肩の脱臼と神経麻痺、化膿と出血があり、治る見込みはないので断翼しました。

小学生が関係していますし、熱心な子供と先生がいれば学校で飼育して欲しいものです。
ただし、普通は結構人慣れするはずですが、野鳥は目をねらってつつく場合もあり、小学生だけに世話をさせるのは難しいかもしれません。
いずれにしても数日して状態が落ち着けばペットとして生きる道を探します。

ここのところ断翼ばっかり。いいことをしているのか、よけいなことをしているのか。
本人にとっては何が一番いいんでしょうか?

その後、保護された方が引き取って飼育して下さることになりました。
教育的な配慮から、学校での飼育を認めるように行政側とだいぶん掛け合って下さったようですがダメだったようです。
もちろん、”闇で” 飼育して問題提起すればいいんですが、”カラス一人” で行政を動かすのは難しいようです。
マスコミに乗れば対応も変わるんでしょうね。でも、当のキョロちゃんにとっては、静かに暮らしたいのが本当でしょう。

*以前、断翼したブトちゃんの事が こちら に掲載されています。
参考になるでしょうか?この子は学校での飼育も許可されているようですが、現在、人になれる訓練を、保護された方が自宅でしておられます。

鳥さんは手術後でもすぐに食事する。名前はキョロちゃん、になりました。




アオバズク
2003年5月7日


府の担当事務所から搬入されました。いつもありがとうございます。
岸和田市で保護されたそうです。今までの子もみんなそちら方面でした。かわいいから拾われる確率が高いのでしょうか?
今までのアオちゃんと同じで、嘴をカチカチならしたり、頭を上下に振って威嚇します。
前回は体中ダニだらけで、犬舎中ダニが歩いていましたが、今回は大丈夫なようでした。
尾羽がほとんど抜けています。カラスにでもつつかれたのでしょうか?
かなり痩せているのでしばらく、朝昼晩の強制給餌が必要なようです。

ちなみに ”アオバズク” は ”青葉” の頃に来る ”ズク” です。”ズク” とは
(以下、某HPから
(無断で) お借りしてます。)
 この ”ズク” には<木兎>という漢字が当てられています。これらの ”ズク” が付くフクロウは、足の先まで、ビッシリと毛が生えているのです。その足を伸ばすと、「兎の足」そっくりになるんです。写真集などを見ていても、止まっている状態では全然わかりませんが、ごく稀に飛び立った瞬間を撮ったものがあり、そこには兎の足を生やした羽を広げたフクロウが写っている事があります。実は明記されてる文献、見たことはないんですけど、漢字と写真を見て、「あ、これか」と、妙に納得しただけなんですが。

と、この方はおっしゃっています。さて、どうなんでしょうね。



(残念なんですがこの子も亡くなってしまいました。
剖検により♀ということがわかりました。遠くから子どもを生みにやってきたのに残念です。
消化不良と化膿により亡くなったようでした。)




ツバメ
2003年4月11日


府の担当事務所から連れてきて下さいました。飛べない、とのことです。
レントゲンで上腕骨中央の斜骨折がありました。
開放骨折でかなり時間が経過しているらしく(保護後、しばらく飼われていたらしい)、骨と筋肉の壊死が始まっています。骨折部位と折れ方はいい感じなんですが、ちょっと手遅れ。野生復帰は無理のようです。
すでに餌付いていて手乗りです。

”おいしい(治る可能性のある)” 骨折でしたが・・。右は麻酔風景。

(残念ながらこの子はその後、亡くなりました。)



ヒヨドリ
2003年4月7日


近くの獣医さんでモズ、といわれたそうです。食事の相談とギプスのことで電話がかかってきました。
パンを与えている、という話で、モズならもっと肉食っぽいのに、と思いつつ、(ひょっとするとヒヨドリ?と思いながら)足の骨折なら生きるのに支障ないので、飛べるのなら早めの放鳥を勧めました。
一度見て欲しい、とのことで来院されると、やっぱりヒヨドリでした。

足の骨折はたいしたことがなく、1週間で治っていました。それよりハコで飼っていたらしく、尾バネが痛んでボロボロでした。風切りも糞便などで汚れていたので、これ以上の飼育はかえって有害と判断し、エサの指導とあわせて、早めの放鳥を指示しました。

りっぱなギプス。重たそう。 見にくいですが痛んだ尾羽が見えます。



ユリカモメのその後V
2003年4月5日


筋肉が萎縮したらしく、羽が下がってしまいました。ピンが外部に出ていた肩の部分も化膿ぎみで、このまま羽を残すよりペットとして生きる道を探すのであれば断翼した方が良い、との判断で翼を切断しました。羽が下がるとウンコで汚れるのと、自分の意識で動かせなければ障害物に引っかかる可能性があるからです。最近の翼の骨折は最終的にチョン切ってばかりで残念です。