野鳥カルテ           

2003年
 1−3 



2001年
 9−12
2002年 1−3 4−6 7−9 10−12
2003年 1−3 4−6 7−9 10−12
2004年 1−3 4−6 7−9 10−12
2005年 1−3 4−6 7−9 10−12





ヒヨドリ       3月
ユリカモメのその後U 3月27日
ユリカモメの途中経過 3月12日
ユリカモメ    3月10日
ドバト       2月25日
ドバト      2月22日
ヒレンジャク   2月19日
メジロ      2月12日
ルリビタキ    1月22日
ヒヨドリ      1月10日

ヤマシギ     1月7日
ヤマシギ     1月7日
ホシハジロその後  1月5日



トリモチについたヒヨドリ
2003年3月


2月21日に自宅に置いてあったトリモチ(ネズミ?ゴキブリ?)に捕まったそうです。ヒヨドリはこういうのによくかかるようです。虫をねらって逆に本人がくっついてしまうのでしょう。
何とかトリモチは取ったけど飛べない、とのことで、遠くからネットを見て来て下さいました。
羽がいたんで ”パサパサ” になり、風を受けられなくなったみたいです。羽というのは抜けない限り次が生えないので痛んだ羽は抜かざるを得ません。
一度に全部抜くとこたえるように思い、3月17日に6枚、26日に数枚抜きました。
飛べるようになるまで待つしかないですが1ヶ月はかかるでしょうね。
いろんなごちそうをもらってて、長期飼育の割には痩せもせず、元気な子でした。

一部、新しい羽が見えますね。

その後、4月中旬に新しい羽が伸びて、室内で飛ぶ練習をした後に放鳥した、との連絡を頂きました。




ユリカモメのその後U
2003年3月27日


ピンを抜きました。
骨折部はくっつきましたが関節が固まってしまい、十分伸びません。さらに、やはり筋肉もダメージが大きいようで、リハビリをしても飛べる可能性は低いようです。

本人は機嫌よく歩いて生活しています。
飛べない水鳥が、池でパンをもらいながら何年も生活しているケースがありますが、ユリカモメが池に浮かびながら生活する、というのはあまり現実的では無さそうです。
本来、魚食性の鳥なのでキビナゴやイワシを与えています。涼しいうちはいいけど夏になるとたぶん餌もウンコも香りを発するでしょう。
大和川のユリカモメのようにパン食に変えてもらうかなあ。100%パンでは生きていけないか。
まあ、いよいよ困ったら自宅のバードケージに移すか、ある博物館が環境教育用に欲しいといううわさもあったのでそちらへ出張させるか考えてみましょう。

正面と横向き。ドッグフードには知らん顔でした。




ユリカモメの途中経過
2003年3月12日


保護された方が心配されていますので、途中経過をお知らせします。
手術後当日から少し食欲が出始めました。ケージの掃除に外へ出すと元気に院内を歩いています。

明るいからか、わかっているのか、
自然と玄関へ行く鳥が多い。
あきらめてケージへ帰ろうかなあ。




ユリカモメ
2003年3月10日


岸和田の漁師さんがあちこち問い合わせてこちらを紹介され、連れてきて下さいました。漁の最中に船に飛び込んできたそうです。
翼の骨折ですのでマストかどこかにぶつかったのではないか、とおっしゃっていました。

上腕骨の近位端骨折、開放、斜骨折です。(上腕骨の、体に近い側の骨折で、骨が外に飛び出している=”開放” した、斜めに折れた骨折、という意味。)
麻酔後、洗浄してピンニングとワイヤリング(太い金属棒=ピンを挿入、斜骨折の部分はまわりを ”針金” で巻く)で固定しました。
手術後のレントゲンは一見するときれいです、というより、解剖学的に骨折前と全く同じ状態にしないと手術の意味がありません。骨がくっつくかどうか、化膿しないかどうかはこれから先の話です。ペットならたぶん断翼でしょう。ユリカモメは主に魚食で、飼育するのに水槽が必要な鳥ですのでペットにはなりにくい。その前に、野鳥では餌付いてくれるかどうかも問題です。

手はこわがるのでタオルで保定する

見にくいけど、導入(軽い鎮静)後、
気管にチューブを入れて麻酔する。
骨折して羽が360度回転していました。
ここの骨折ではよくあること。

骨折部の拡大 手術後のレントゲンです。
(左の線は心電図のモニター)

見にくいですね。上からライトで保温。



再びドバト
2003年2月25日

テツandトモの「なんでだろう」、ではないけど、頭が傾きすぎのドバトです。
時々こういう子が来ます。細菌性の脳炎か、ウイルスか寄生虫か、要するにバランスを取る中枢がダメなようです。
時々正気にもどると食事をし、水を飲みます。寝るときは首をほぼ1周回して寝ています。
さて、どうしたものでしょう。ケージが空いているのでしばらく居候させてゆっくり考えましょうか、といっても、治らなければ安楽死するしかないでしょうね。
傾く以外は異常がないのでかわいそうです。

残念ながら衰弱が激しく、数日後に安楽死をしました。


ドバト
2003年2月22日


一応、数のうちですし、元気になったので報告します。
”残念ながら”、ばっかりではさみしいですから。
建物の隅でうずくまっていたそうです。外傷はありませんでしたが痩せていました。
強制給餌を何回か行ったところ、元気になり、飛ぶようになりました。
ちなみに、救護カルテを年に1回、獣医師会に提出しますが、ドバトは補助金の対象にならないそうです。
やっぱり命に差はあるんですね。




ヒレンジャク
2003年2月19日


大阪市内のど真ん中で保護されました。
車に巻き込まれて脳震とうを起こしたようです。
首に擦過傷がありましたがそれ以外に異常は無さそうで、来院時はそこそこ落ち着いていましたのでこのまま安静に一晩様子見、明日に放鳥してもらうよう、保護された方にお伝えしました。
とにかくきれいな子でした。剥製にならずによかったです。





やっと、生きているメジロ
2003年2月12日

今年は妻君がメジロの死体をひらって来たり、愛媛から送ってもらったり、さらに友人から死体を頂いたりと、死んだメジロに縁がある年でした。
やっと今回、前に落ちていたと ”生きている” メジロが届けられました。

尾羽が
抜けて右足を骨折しています。事故か猫でしょうか?
足にプラスチックの環が付けられています。すなわち飼育されていたのでしょう。
念のため、ふしょ長や全頭長を測定しましたら国産メジロの範疇でした。(輸入されたヒメメジロが放鳥されるケースがあり、以前にひらわれてきたケースがありますので。)

神経症状があり、止まり木にも止まれませんでしたが2,3日で治り、片足生活にも慣れつつあります。

白い、プラスチックの環 骨折部は特殊な ”接着剤” で固定




ルリビタキ
2003年1月22日


飼いネコがつかまえてきたそうです。
尾羽が全て抜けていました。一種の安全装置のようで種によっては簡単に抜けてしまいます。
ヒタキの類はみんな目がかわいいですねえ。

残念ながら翌日死亡。猫が関係した事故は外傷が見あたらなくっても成績が悪いです。
また、解剖により♂であることが判明しました。




ヒヨドリ
2003年1月10日


遠いところ、役所等に問い合わせてうちへ連れてきた下さいました。庭にいたそうです。
原因は分かりませんが呼吸困難で開口呼吸しています。酸素吸入しましたが間もなく落鳥しました。
ヒヨドリは今の季節は冬を乗り切るためか、結構太る時期だそうです。このヒヨドリもそこそこ太っていましたのに、残念でした。




ヤマシギ
2003年1月7日


知り合いの先生からお預かりしました。H先生、ありがとうございました。
こういう鳥を手にすることが出来る、目の前で観察できると言うことは本当にうれしいことです。私にとっては初めてでしたので、刺激しないようにケージのすき間からそっとのぞいていました。

ヤマシギはよく建物にぶつかるのでしょうか?自然史博物館のHPに 博物館にぶつかった鳥の記録 があります。ちょくちょくヤマシギの記載があります。

お預かりした時点でそこそこ元気でしたのでとりあえず1晩ケージレストし、翌日に山の手の方で放鳥しました。別れを惜しむ間もなく飛んでいきました。



ホシハジロのその後
2003年1月5日

年末にお預かりしたホシハジロを公園へ放鳥予定でしたが残念ながら落鳥しました。
剖検したところ、右翼、右足ともに筋肉と骨が壊死(死んで腐っている状態)していましたので結果的には放鳥しても時間の問題だったかもしれません。気持ち(と治療成績向上のため?)の上では病院で死ぬより放鳥後にいなくなってもらった方が気は楽なんですが。
本来、もぐって食事をする鳥なので、そのためかどうかわかりませんが自分で食事をとることはしませんでした。カルガモはすぐに餌付きましたので楽でした。