屋久島・種子島旅行      


その2ー1 種子島


2010年8月4−8日



博物館友の会の合宿は、現地集合が原則です。特に遠方の合宿では、みなさん、私が合宿前に屋久島へ行ったように、夏休みを兼ねて前後にご自分で「オプション」を付けることが多いです。いつだったか、西表合宿に行ったとき、一ヶ月近く南西諸島をさまよい、間で館の合宿に参加、という方もおられました。


で、集合地の種子島の港に向けて、屋久島を出発しました。
雲に覆われた屋久島。船でだんだん遠ざかっていくと、なんだか、感慨深い物があります。あの雲の下で、雨に打たれながら多数の人が生活し、山を楽しんでいるんでしょうね。


船は、トッピーという高速船です。途中で、時速80kmで航行中、とのアナウンスもありました。浮上してジェット(?)で走るんだったかな。興味がある方は、お調べ下さい。

西之表港入り口にある灯台です。見ての通り、ロケットの形です。種子島島内には、こんな工作物がいっぱいでした。


これが乗ってきた船です。屋久島を出発して、鹿児島まで航行するようです。



西之表港と、屋久島空港で参加者をひらって、博物館合宿の始まりです。世話人も含め、総勢80有余人。募集は40名でしたが、希望者が多く、急遽、定員を増やしました。

合宿の定員は
宿舎側の制約、移動手段の制約などで決まります。種子島には、大型バスがなんと、3台しかないそうです。もう1台は、宇宙センターにあるそうですが、観光には使えません。最初は一台しか確保できず、増員は難しい状況でしたが、しばらくすると2台確保できたとの連絡があり、全員当選としました。抽選する時点では、飛行機の先行予約なんかが終わっていて、飛行機を確保したのに抽選ではずれた、という事態も避けたかったので、まあ、増員できてほっとしました。(私も一般参加の身で、世話人ではありませんが。)

最初に、某海岸で植物や動物の観察です。とにかく広い海岸。


私がとりあえず出来ることと言えば、磯乞食、物ひらいです。よく言えば、漂着物の調査。

椰子の実がころがっていました。歩いていると、時々ありました。


お決まりの、外国からのゴミ。
青島何とかと書かれた、たぶん酒のビンに、上海何とかと書かれたペットボトル。


(左)マレーシア、と書かれているけど、本当にそこから来たのか。船から捨てた?
(右)お決まりの、セッコウショウ(だっけ?)の名前入りの漁具。


こっちは、台湾らしい。たくさん落ちていました。


ホネホネ団団長が遙か向こうから、喜んで帰ってきました。アカウミガメをひらって来ました。
熟成してかほっているので、手袋やボロ切れもひらって調達していました。


砂浜のあちこちに、棒が立っています。ウミガメの産卵場所に印をしているらしいです。こんなに広い海岸での調査は、たいへんでしょうね。


で、宿泊場所へ移動しました。玄関には、町の蝶とも言うべき、ツマベニチョウが書かれています。ちなみに、合宿期間中、採集した人がいるのかどうかはわかりませんでした。
バスの車内から時々見られた、と学芸員の方はおっしゃっていましたが、私はわかりませんでした。


部屋割りの名簿を見て、笑いました。この宿舎は、大きなダム湖の横にある、複合施設でした。子供会が自炊できるような施設、とも言うべきでしょうか。キャンプや、工作や、宿泊が出来るところで、おそらく最初は町の施設として作られ、今は指定管理みたいにしているのでしょう。ありとあらゆる部屋を宿泊用に提供してもなお場所が足りずに、世話人や、一般参加ではあるけど関係者に近い人達は、廊下で寝て下さい、との事でした。

食事も、容器が足りなかったらしく、湯飲みの代わりにコーヒーカップだったり、みそ汁の入れ物も、不揃いでした。定員も、消防法も関係なしに詰め込んだ感じです。ちなみに、宿泊費は食事代より安いそうです。どんな宿?


夜に、勉強会というか、その日の成果の発表会があります。
ミナミヤモリ、だそうです。


サツマゴキブリに、ニホンヒキガエル。


(これはここでの採集じゃないけど)翌日に採集された、ハツカネズミ。


翌日、日本でも最大の、メヒルギの群落へ行きました。いわゆる、マングローブですね。天然の自生地としては北限、だそうです。また、メヒルギだけの群落としてもこの規模は、世界有数だそうです。




向こうの方を見ると、海蝕洞の様な穴が見えます。「持ち物」の所に、「濡れても良い靴、もしくは、長靴など」と書かれていましたが、荷物を減らすために、私は持参していませんでした。濡れないところで、ウロウロしようかと思っていました。が、知り合いが、あっちにコウモリがいましたよ、って教えてくれたのです。

こんなところで、コウモリを観察できるとは、思いませんでした。で、靴のまま、バシャバシャ海に入り、いくつかある穴をのぞいていましたら、最後の極めて細い穴でコウモリが見つかりました。這うような穴で、最後が広がっているところで、コキクガシラコウモリが2頭、飛んでいるのです。


カメラの調子が悪く、撮影できませんでした。真ん中の、何となく黒いのがコウモリです。


で、残りの時間は、やっぱり磯乞食でした。



ここでは、収穫もありました。ミズナギドリと、クサガメです。


昼食は、千座の岩屋、と言うところでした。
海水浴場ですが、泳いでいる人はほとんどいません。


ここも海蝕洞があり、規模が大きいので有名な観光地になっているようです。



午後からは、今回の合宿のハイライトとも言うべき、種子島宇宙センターの見学です。自然史系の行事で宇宙というのも不思議ですが、まあ、いいでしょう。これについては、別ページに記載しました。こちらをご覧下さい。

この施設の近くで、地層の観察がありました。なんでも、ここまできれいに出ているのは、世界でも有数の事らしいですし、ここだけで博士論文が何本も書ける、って学芸員は言います。どうでしょう?身震いがしますか?


二日目の宿舎へ行く途中でも、地層の観察がありました。今度は、火山灰の観察です。火山灰というのはファンが多いらしく、いろいろな質問が出ていましたが、私にはさっぱり、でした。また、皆さん、火山灰をビニール袋に、大事そうに採集しておられました。中に含まれる鉱物を調べるそうです。

この道路、見ての通り、すごく立派なんですが、通行止めになっていました。向こうを見ればわかるとおり、土砂崩れがあるから?地理的なことはさっぱりわかりませんが、どこも車はほとんど走っていないのに、こんなにりっぱな道が新たに必要なんでしょうか?


2日目の宿舎です。温泉を併設した、りっぱな「ホテル」です。種子島で唯一の、エレベーターのある建物、と言ったら言い過ぎかな。「こんなに高い」ビルは、あまり見なかったように思います。

合宿の宿舎として、ホテルというのも、あまりないことです。人数が多く、和室や洋室をいっぱい押さえたようです。洋室では、家族で一部屋、という所もあり、合宿というより、家族旅行みたいになっていました。食事はすごく豪勢でした。
また、まとめの部屋は、結婚式でも行える、宴会場でした。そこに、虫やら骨やらをならべて、みんなで騒いでいました。

ちなみに、ホテルの裏はサツマイモ畑。種子島を走っていて回りの景色を見ると芋畑か、田んぼか、サトウキビ畑しか見られません。で、畑の回りに時々、バナナ。


屋久島でもそうでしたが、雨が多いからか、種子島でも虹を何回か見ることが出来ました。虹の根元には宝物が埋まっていると言います。屋久島や種子島には、宝物がいっぱいかもしれません。


食事のあと、某海岸へ観察に行きました。海岸林の観察、と言うことでした。防風林のように一部を残して、内側は畑になっているところも多いようです。



この海岸では、ウミガメの足跡がたくさん残っていました。今でも上陸があると言うことなのか、保存性がよいと言うことなのでしょうか。


で、生きている子ガメも見つかりました。本来は、孵化した子が昼間に見つかるはずはなく、予想通り、この子は瀕死の状態でした。内地なら、タヌキの餌食になるんでしょうけど、たぶん種子島にはタヌキはいないはず。


で、別の所では卵塊も見つかりました。本来は、こんな浅いところに産卵巣があるはずはありません。直接の太陽熱で死ぬんじゃないでしょうか?


で、いくつかの卵を割ってみると、発生途中で死んだ子らが出てきました。


この日の昼食は、門倉岬というところ。先ほど観察した海岸と、はるか向こうには、宇宙センターの発射台が望めます。


右側、かすかに棒のように見えるのが発射台です。


合宿も、いよいよ最後になりました。飛行場組(ほとんどは大阪へ帰る組)と、港組(ほとんどは屋久島へ行く人達)に別れて移動です。風景は、やっぱりサトウキビと芋と米。ちなみに、「日本で一番早い新米、コシヒカリ」とあちこちに書かれていました。稲を干すのは、ほとんどがガードレールでした。


私は空港組でした。
一日に飛行機5本、の空港ですね。


多くの人は、大阪直行便を利用されていました。
プロペラ機で大阪まで飛ぶようです。


私は、妻と娘に合流するため、鹿児島まで飛びました。搭乗直前に、スコールのような大雨。少し歩くだけで、ビショビショになりました。



長かった夏休みも、これで最後です。惜しみつつ、大阪まで飛んで帰りました。
一時間後には、喧噪の大阪に、現実に引き戻されます・・・・・・。



そうそう、屋久島と種子島の印象というのを書く機会がありませんでした。
屋久島というのは、以前にも訪れたことがあり、とにかく屋久杉に代表される、自然遺産そのものです。平地はほとんどなく、田んぼや畑もあまりありません。産業(仕事)というと、漁業と観光、くらいでしょうか。

民宿の方の話では、たしかに自然遺産や、もののけ姫ブームで観光客は増えたけど、それに合わせたように、空き部屋を民宿に流用したりする、「にわか民宿」も非常に多くなり、経営はたいへん、との事でした。年間を通じて、平均してお客さんが来ることも望めないでしょうし。

一方、種子島というのは、ほとんどが平地で、田んぼや畑が広がっています。カロリーベースでの、食糧自給率は800%と言う話でした。すなわち、食料が余りに余っている、とも言えるでしょう。自分で充分食べられるので、観光に頼る必要がない、と言うことなのか、見せるものがないからなのか、観光地としての種子島は、ピンと来るものがありません。

私は堺市民で、鉄砲つながりで、種子島とは友好都市みたいなものになっており、時々市の広報で種子島の名前は見ます。小学生の交流会みたいなものもあったかもしれません。でも、さすがに今回の合宿では、鉄砲がらみの施設の見学はありませんでした。かろうじて、ホテルに何丁かの火縄銃が展示されているのを見たくらいでした。

ということで、天気もたいへん良く、楽しい合宿でした。

で、宇宙関係はこちらへ。