アカウミガメの帰還(旅たち)    
         2005年9月17日




急に思い立ち、方角は全く違うのですがコウモリ調査のあと、「持ち物」(要するに懐中電灯)が同じなので、ウミガメの観察を思い立ちました。もちろん産卵は終わっています。今は子ガメが海に帰る季節。
地中温度によるのでしょうけど約2ヶ月で孵化し、穴から脱出するのが今の時期です。

といっても毎晩、というか、今日に子どもが穴から脱出するという確信があるわけではありません。はるか以前は見られました。また、海へ帰れなかった奇形児や死んだ子をひらった事があるので、それぐらいなら見つかるかと思いました。

今はもう秋、誰も、いない海〜・・・・、とりあえず砂浜の比較的上部の、産卵が行われたであろうところを推定して歩いてみました。(ここは基本的には卵の移植は行っていないはずです。)子どもの足跡を見つけてそれをたどれば出てきた穴が推定できます。2日に分けて脱出が行われる場合もあるようですので、新鮮な足跡なら、一日遅れの子に会える可能性があるか、あるいは標本用の死体があるかとも思いました。

古そうな足跡はいくつか見つかりましたが、いかにも今日、あるいは昨日と思われるのは見あたりません。所々、大きく掘られたところがあります。カメの脱出があったあと、孵化していない卵や出そびれた子ガメを助けるために、調査のために掘っているようです。1カ所はなぜだか知りませんが、こんな状態でした。腐って臭い。

いつもスケールを忘れます。ちょうどピンポン玉の大きさです。黄身は濃い。


所々にこの様な札が埋まっています。日付は7月末から8月上旬。ということはほとんど脱出したあとか。
(産卵のピークは6月から7月です。)


あてもなく浜辺を何回もうろつきました。カニが歩き回り、カメと間違うこともしばしば。
札が多く残っているところでしばらくたむろしていると、全く突然、なんの前触れもなくこんな事に。

砂からウミガメが湧いてくる感じです。あっという間に出てきて、一目散に海へ向かいます。
びっくりして数を数えるのを忘れていました。4−50ぐらい?

あんまりうれしいので同じような画像ばっかり並べてしまいました。すんません。

こんな子です。 ヘソがある。


浜辺の障害物につかまります。このまま海へ帰られずに死ぬ子がいればネタになるんでしょうが、さんざんゴミの山を調べましたが死体はありませんでした。なんとか越えるんですね。

結局迂回したみたいです。下が海側。 しばらくこけていた子。起きられない?

あと一息。 この波で消えていきました。

子ガメの足跡、わかりますか? 脱出後の穴。やや陥没。


みんな海へ見送り、帰ろうとすると裏山から聞き慣れた動物の声。懐中電灯を向けると眼が2組。
タヌキの食害も多いそうです。


近くにあった自動販売機。なんだかあやしい?


ちなみに、昔に撮った写真です。


ということで、何年かぶりの子ガメ観察は空振りに終わらずにすみました。今年も産卵は見に行けず、昨年は坊主でした。
人知れず何十年もこういう事が繰り返されているのです。絵本的ですけど、今頃みんなどこを泳いでいるのか、このうち何頭が大人になって帰ってくるんでしょう?もう何頭かは他の生き物に食べられてしまったかも。生き物、自然というのはすごいもんですねえ。