瀬戸内海の自然を楽しむ  

生き物のにぎわいとその恵み


2017年7月15日〜10月15日

瀬戸内海は本州と四国に囲まれた、波の穏やかな海ですが、島があったり、灘と呼ばれる島の少ない海域があったり、いろいろな異なった環境にいろいろな生物が暮らしています。また、この海域では昔から人がその生物を利用して生活しています。
限られたスペースでそのすべてを紹介できるわけではありませんが、何年もかけて調査した成果と、現在の問題点、今後の展望などを考えるきっかけになればと思います。

 


行政的には、どこで「瀬戸内海」のラインを引くのか、役所によって微妙な違いもある、んだったかな。

 


島のある海域は、水流ができることによって水深は深くなり、灘と呼ばれる水域は、水深は浅いそうです。
ちなみに、島の数は700以上、だったかな。

 

 


アマモは「海のゆりかご」ですが、瀬戸内海全域にある訳でもなさそう。

   


今回の展示の目玉は、ザトウクジラの骨格標本です。岬町に漂着した死体を、私を含めた「有志」で解体しました。
ちなみに、私はミンククジラにはじまり、マッコウクジラ、今回のザトウクジラまで、「皆勤賞」です。

 


近くで見ると、そこそこ大きかった。


この標本は、笹川さん関連の助成金で作ったそうです。この作成費だけで、何百万円?

 


よく見ると、将来的にぶら下げられるような作成がなされているみたいです。
博物館的には、ポーチにぶら下げたいのかもしれません。

   


(左)スナメリは瀬戸内海を代表する海生哺乳類です。年に何度か、死体が見つかっているように思います。

 


少し読みにくいですか。
瀬戸内海で記録のある鯨類のリストです。ホッキョククジラが堺で見つかっています。

 


昔は、アカウミガメも産卵していたそうな。

 


ドタブカです。模型ではなく、剥製です。


瀬戸内海の、ゾウの化石は有名ですね。底引き網に入るらしい。

 

 

 


干潟というと渡り鳥を思い出します。
かなりたくさんの剥製が並んでいます。

 

 


見慣れた鳥でも、実物を見ると大きいなあと思ったり、案外小さい、と思ったり。


瀬戸内海のタワヤモリは有名で、昔に大阪南部にいたのは確認されていますが、たしか、最近の記録はありません。

   


写真も模型もきれいです。分布域の地図もありました。現物は会場でご覧になって下さい。

 


定置網の模型を作って、中に標本と解説、ラミネートされた魚が並んでいます。

 


大阪湾の、イイダコ、タコの捕獲道具です。特に、イイダコ漁はビデオが流れていておもしろいです。これも会場で確かめて下さい。

 

   


北海道と、瀬戸内海の一部にだけ自生する、って非常に興味がありますね。
昔は交易との関連が言われていたらしいが、DNAの分析で否定されたとか。このあたりの解説が興味深い。
ちなみに、瀬戸内海のアッケシソウ発見は、牧野富太郎によるものなんだそうです。


イギリスのチャレンジャー号が150年ほど前に日本に来て、いろんな生物調査をしています。


標本も多数持ち帰り、新種記載に使われたものもあるそうです。
当時の標本も残されており、学芸員が調査しに行ったら極めて正しかった、とか。

 

   

 


日本のお殿様も「生き物調査」をしていました。
当時の「本物」の絵図が展示されています。すばらしい。


セリの様子が録画で流れています。非常におもしろい。

 


ふーん、と思いました。勉強になりました。

   

 


カキを剥く画像も流れています。

 

 


カキの産地調査です。
やっぱり、広島産のカキが日本中で売られているみたいです。

 


これも、漁の様子が画像で流れています。

 


「じゃりん」というらしい。で、この製造過程も画像があります。

   


「赤穂の塩」を思い出します。
商業的な塩田は、もうないんじゃないか、との話でした。

   

 

   

 


   


なんと、タイプ標本が展示されています。まあ、よく分からないほどの「小さなエビ」ですが。

   

 


博物館の特別展、特に、自主展は、何年もかけて学芸員と友の会会員が調査や観察会を実施して作っています。いわば、「手作り感」の漂う展示で、人それぞれ思い入れ感のある展示になっています。私にとっては、特にザトウクジラの一件が懐かしい。
この展示で瀬戸内海のすべてがわかるわけではありませんが、人とのかかわり、歴史、自然の変化の一端がわかるかとも思います。
何度見ても新しい発見がある、楽しい特別展です。ぜひフリーパスをお求めの上、避暑がてらにお越しください。