八ヶ岳のモモンガ!       

         2008年10月12−13日


「モモンガ日和」 鈴木欣司写真集 という本が、あります。名前の通り、モモンガの写真集です。この舞台となったのが、八ヶ岳の山彦荘という山小屋です。この本を見てから、ずーーーーーと、行きたいなあと思っていたのですが、やっと実行しました。

実は、先月にも計画を立てたのですが、小屋へ電話すると、その日は開けていない、とのことでした。連休とか、休みがからんだ日しか、開けないそうです。行ってみてわかったのは、小屋番(?、番頭さん?、オーナー?)は一人しかいなくって、その人の都合で開けたり閉めたり、だそうです。予約があれば一人でも開ける、って言ってたけど、先月予約の電話をした時は、その日は開いていません、とのことでした。(本沢温泉と経営が同じで、いろいろ事情があるのでしょうか。私が電話した時は、出たのは、この小屋番のおじさんではありませんでした。)

12日、日曜日の早朝に出ました。出たとたん、車がパンクしているのに気が付きました。タイヤ交換で一仕事した感じです。
阪神高速から名神に入って順調に走っていると、目にしたのが「第2名神」。そういえば、ニュースでもやっていました。同じ道ばっかりで飽きたので、こっちを走ってみることにしました。

「名神」というのは、「名古屋」と「神戸」ですね、よく考えると。あとになって気が付いたのですが、私は「中央道」に入らなくてはいけません。「中央道」と「名古屋」は関係あるような、無いような。「中央道」は一宮からの分岐なので、名古屋とは方向が微妙に違います。名古屋に行っても仕方ありません。その時点では何も考えないで、「第2名神」に入ってしまったのです。私のカーナビの地図は10年くらい前ので、こんな道路はありません。単純に、何kmかを並行して走っているんだと思っていたら、「東名阪」へ合流する道路でした。
そこから「名神」に入る(もどる)方法、あるいは「中央道」へつながる経路もあったようですが、なんかよくわからず、いったん降りてしまいました。そこから改めてまた高速へ乗りました。何という、無駄。

なんとか高速へ戻り、諏訪インターで降りました。遠かったです。これは、その手前のSAから見下ろした湖です。諏訪湖は、火口湖?まん丸です。
そういえば、ここから花火は見えるんだろうか?でも、みんな同じ事を考えているでしょうね。


車は、桜平と言うところまで入れます。最後の何kmかは、舗装のない林道で、すれ違いも困難。解説書には、4輪駆動車だけ入れる、とも書いてあります。実際、大変なところもありました。でも、普通自動車もちゃんと最後まで、入っているようでした。

着いたのは2時くらいだったかな。ここから小屋まで、地図上では、2時間弱の行程です。
(右)途中にある、夏沢鉱泉。太陽電池と、風力発電があり、少し離れたところでは、水車発電もしていました。温泉臭が漂っていました。


これが目的地の、山彦荘。実は、この日、小屋が開いているかどうかは確認していませんでした。連休はたいてい開いている、と、前回聞いていたので、たぶんやっているんじゃないかと思い、見切り発車でスタートしてしまいました。途中から何回も小屋に電話していましたが、電話がつながらず、ちょっと不安でした。念のため寝袋も持って来ていて、小屋がやっていなかったら野宿でも、と思っていましたが、それは、いかに無謀な話か、着いてからわかりました。この標高では、夜明け前は氷点下なんですね。外の水が凍っていました。まあ、死ぬことはなかったかもしれませんが。

あと一時間歩くと、本沢温泉というところがあり、この小屋がやっていなければそこへ行く事も考えていました。でも、本沢温泉が満員で断られ、ここまで歩いてきたという人もありました。基本的に山小屋というのは緊急避難的な面もあって宿泊客は断らないって聞いたことがありますが、それは山の上の話で、このレベルの小屋は旅館と同じで、きっちり予約をしておかないとダメなようですね。


野生動物を餌付けするというのは、まあ、いろいろ問題もあるでしょうけど、まあまあ、この程度なら許してもらいましょう。喜ぶ人も多いですし。
夕暮れまでは、コガラが飛んできていました。足で押さえて、くちばしで割っています。かわいいです。


さて、夕暮れになって、夕食もそこそこに餌台を遠くから時々眺めていると、3頭のモモンガがエサを食べているのを見つけました。いつの間に、来たのでしょうか?
のぞき窓を開けても逃げません。大きな音や、人の気配に驚いて、時々前の木に移動したり、戻ってきたりを繰り返しています。とにかくかわいい動物です。


ドングリより、ヒマワリ、だそうです。




この小屋の「売り」は、小屋の中までモモンガ、ヤマネが入ってくると言うことです。壁の上の方に、丸い穴が空いています。ここから入ってきて、本棚のヒマワリを食べるのです。



目の前でヒマワリを食べ、フラッシュにも驚きませんが、大きな音や、大きな動きには反応して逃げるようです。



夕暮れから1,2時間が活動時間なんでしょうか。餌台に来たり、中に入ってきたりを、繰り返していました。
この日の宿泊客は8,9名。この山小屋には電気がありません。皆さん、朝が早いし疲れているからか、7時くらいになったら寝るために2階へ上がって行かれました。(モモンガが来るのは一階。)モモンガを見に来るお客さんが多いのだと思っていたら、皆さん、夕方にちらっと見てからは、あまり興味もないようでした。私は、山には興味が無く、一晩でも見ていたかったのですが。仕方なく、8時半過ぎに2階へ上がりました。

8時になんて寝られるはずもなく、布団の中でボーとしていると、何かが走る音、木をかむ音が聞こえてきます。モモンガか、ひょっとすると、ヒメネズミか。木の隙間からのぞこうとしても、何も見えませんでした。次の日、下に降りるとあちこちにひまわりが散っています。たぶん、ネズミが持って走り回っていたんじゃないでしょうか?

深夜に、一階のことがあまりにも気になったので、他の人を起こさぬよう、階段のギシギシ音を気にしながらそっと下に降りてしばらく観察しましたが、残念ながら姿は見えませんでした。

早朝、5時過ぎに皆さんが活動を始めたので(とにかく、山というのは朝が早いんですねえ)私も降りてみると、明るくなってきているのも気にせず、一生懸命、ヒマワリを食べている子らがいました。小屋のおじさんの話では、この周辺には5頭が暮らしている、という事でした。


ちなみに、もう一つ期待していたヤマネは、姿は見ず。いくつかの本で、10月の今ごろは冬眠するかどうかのボーダーラインだと思っていたのですが、それはもっと高度の低い地点の話らしく、ここはすでに早朝に氷が張るくらいなので、すでに寝ているみたいです。小屋のおじさんの話では、姿を見るのは、6月から9月の、ほぼ3ヶ月だけだそうです。見られ始める日、最後の日もはっきりおっしゃっていましたが、忘れてしまいました。
ちなみに、モモンガは、ほぼ100%、見られるそうです。「真冬も来るんですか?」って聞くと、「真冬は小屋がやっていない」って、言われました。


さて、モモンガも十分見せてもらい、目的は達したようなもの。とはいえ、まだ朝の6時。帰りに特に寄るところも考えていないし、目の前にある山くらいは登ってみようかな、ということで、硫黄岳に行くことにしました。グルッと回って、元に戻るコースが、地図上では2時間くらいのコースになっています。
先月、今回の旅行を計画していた時は、地図上で3時間ちょっとで赤岳と言うところに行けるのでそれも考えてはいたのですが、片道3時間という事は往復6時間、と言う簡単な計算になるはずもなく、帰りは疲れてもっと時間がかかるかも。そもそも、そこまでして山に登りたい欲求がある訳じゃないので、それは早々に諦めていました。硫黄岳だけのコースは、なんとなく下調べはしていました。

小屋から見る硫黄岳(右が頂上)


こういう俯瞰図は、写真にすると何にもわかりませんね。小屋から登る途中に北側を見下ろすと、山を真ん中にして、両側に町がきれいに見えていたんですが。アルプスは衝突で隆起しているんでしたっけ?その感じが、よくわかる、ような気がしました。


硫黄岳の頂上です。
風が強くて、非常に寒い。足元には、霜柱。当然、夜は氷点下なんですね。


(左)「爆裂火口壁」って地図に書いてあります。上を歩けるようになっていたけど、おそろしくて行く気にもならず。
(右)赤岳への道がきれいに見えます。見た目では、すぐそこ。山小屋が3カ所あるので、ヒマさえあれば(もう一晩泊まる気になれば)十分行けますね。もっとも、赤岳だけを目的にするなら、別のアプローチがあるようにも思います。


美濃戸、阿弥陀岳方面。(南東方面。)


南側から、硫黄岳を振り返る。


南側の森林限界は2600mくらいだそうです。(頂上は2760m。)植物の変移を観察したり、高山植物なんかがわかれば、おもしろいんだろうなあと思いながら、まあ、勉強する気がないんだから、仕方ないでしょう。ちなみに、双眼鏡も持って来ていたけど、しんどくってザックからも出しませんでした。鳥の声はいくつもありましたが、声だけでは種類はさっぱりわからず。姿はほとんど見ませんでした。



ということで、念願のモモンガ見られて、大変満足でした。といっても、一泊(素泊まりで4500円)、高速代、ガソリン代、(お土産)、等々、けっこうな経費がかかっています。距離は、往復で8〜900kmあったように思います。遠い。おまけに、ヤマネが見られなかったので、来年に再チャレンジが必要になりました。

それにしても、何でみんな、あんなに山へ登りたいんでしょうね。朝の7時から、山のあちこちに人の姿があります。道に迷うのが心配でしたが、これだけ有名な場所では、普通のコースを取る限りは、間違うことはなさそうです。こちらの山道の方が、よほど危険かも。