大内山動物園    

 
2009年4月3日


18切符が一回分余りました。オークションも考えましたが、ふと思いついて紀伊半島を一周してみることにしました。主な目的は最近のブーム、動物園見学と、友人に会うことです。場所は大内山村。まあ、大内山と言っても、誰もわからないでしょう。三重県の山奥に、私設の動物園があるのです。この村で私の大学時代の親友が獣医師として働いており、動物園の噂は常々聞いていました。

例によって、始発の電車です。5時5分発。今回は南行き。そういえば、白浜へ行ったり、太地のくじら博物館へ行くときに使いました。
和歌山市を過ぎると、みかん山が徐々に増えます。もちろん、有田あたりがピークでしょう。山の斜面全体がみかん山になっているのは、いつ見ても壮観です。温暖化でみかんの品質が下がっている、と言う話も読んだことがありますが、今後、どうなるんでしょうね。
次は印南の駅から見える「カエル橋」。ちょっと気になって調べてみると、ふるさと創生資金を使って、何億円もかけて作ったそうです。町全体がカエルに町おこしを求めているんでしょうか。ここ以外に、カエルの像や説明があちこちにあるみたいです。
ついで、南部が近づくとウメになります。あちこちに木が見えます。また、南部というと、ウミガメの産卵する砂浜です。右にカーブしながら海岸を見下ろすのがいい景色なんですけど、残念ながら右側に座れず、また、寝ていたのか、気が付きませんでした。




すごく年配のおばはんが、虫眼鏡と時刻表を見ながらなんやらメモを取っています。どうも、18切符らしい。途中で地元のおばちゃんを捕まえてにぎやかに話していました。串本の橋杭岩という観光地を通るときは、大きな声で車内のみんなに海を見るように叫んでいました。まあ、楽しそうでした。


今度こそ、ディーゼル車の旅かと思っていたらずっと電化されているんですね。新宮になってやっと(?)ディーゼルカーになりました。発進時の、ゴーという音が懐かしい。また、線路の両側には電線用の鉄柱もなく、すっきりした風景です。

別の形の汽車を2台つなげて走っているのもありました。



途中で見かけた、ヘンなもの。某自動車学校を何気なく見ると、自転車が見えました。不思議だなあと思ってよく見ると、マネキンでした。


今回も接続が良くって、何度か乗り換えましたが駅でのんびり、と言うのはありませんでした。大内山に着いたのは午後1時。遠かった。20数年ぶりに友人に会ったけど、一目見ただけで時代はさかのぼり、昨日別れたところのような感覚になりました。見た目は全然変わっていませんでした。

駅前の桜並木に、友人の職場の酪農組合と自宅。(本人はネットはしていないらしいが、写真を掲載するように言われました。)



友人の案内で、まず主目的の「大内山動物園」へ行きました。ここは脇さんという方が、趣味で動物を集めだして開いた私設動物園です。友人に聞いた話とネットで集めた情報を総合すると、一時、村に経営を移行させる話もあったようですが、事情で出来なかった(しなかった?)ようです。
何年か前、脇さんが亡くなって閉鎖されていましたが、その当時から動物のエサを援助していた某会社の社長さんが引き継いで動物舎を新しくし、全面的に運営しだしたようです。なんやら大金持ちらしく、当時からベンツに肉を山積みして動物園へ来てたとか。危険動物の飼育云々の規制もあって、動物舎をやり変えないと飼えなくなっていた事情もあったようです。

ちなみに、ネットでは入場料300円となっていたように思うけど、「リニューアル」してからは600円になっていました。家族連れ、数組がいました。


脇さんの自宅もここにあったそうですが、すでに更地になっていました。一つ一つの動物について、友人が解説してくれました。


いろんな動物がいる中で、熊が一番恐ろしい、猛獣の中の猛獣、とか言うことです。


わざわざここで見ないでも、村内、いたる所にサルが出没するそうです。


昔はいろんな芸をしていたそうです。絶滅が危惧され、国内での繁殖が求められている動物がこういう形で、一頭だけ飼われているのは、今の時代(情勢)ではかなり問題でしょうねえ。これはこの子だけではなく、他の動物にも言えることです。飼育室はある程度広いし、きれいに掃除もされていますが、見せ物小屋的な雰囲気を出ていません。こういう個人的な動物園にそこまでを求めるのは無理でしょうけど、やっぱり希少動物は繁殖を目的とした飼育に切り替えるべきです。チンパンジーは「チンパン人」と呼ぶ専門家もいるほど人間に近い動物だけに、こういう姿を見るのは、かわいそう、という感覚が先に立ってしまいます。



この子もストレスからか、大きな声でずっと鳴いていました。


ライオンに、アライグマです。


繁殖しているらしく、ヒヨコがいくつか走っていました。ヒヨコが木の杭をピョンピョン跳びながら巣に入るのがかわいかった。



(左)尾長鶏、だそうです。まだ尾はあまり長くありませんでした。というか、本来は専用のハコで飼うのかもしれません。



ミニチュアホースの子供がいました。爆睡していました。



ダチョウに、ラマ。
ラマはつばを吐きかけるので有名です。すごく近いし、口をもぞもぞしていたら怖くて(?)すぐに逃げました。



なぜか知りませんが、脇さんはアカミミガメが大好きで、いっぱい集めておられたそうです。
コイも大変かわいがっておられたそうで、巨大なコイが庭の池にいっぱいいたそうです。池もコイも残っていますが、最近、大きな子を見かけない、って友人が言ってました。近くの山を掘って、大きなミミズを捕まえてはコイに与えていたとか。


「県内最大級」というのがパンフレットに書いてあります。三重県には、他に動物園がないので、当然と言えば当然でしょう。
前記しましたが、一部は動物を並べてみせるだけに終わっています。トラはいませんでした。昔は、ゾウもいたそうですが、足を悪くして亡くなったそうです。今、いる「猛獣類」も、再生産がなければ一代で終わってしまいます。とはいえ、他の公営の動物園にしても、入れ物は大きかっても、同じように見せるだけに終わっている動物はたくさんいます。ここだけの問題ではないとは思いますが、動物園のあり方そのものを考えさせられます。

かなり資産がある方が援助しているのでなんとか継続されてはいるみたいですが、複雑な気持ちです。


頭之宮四方神社、だそうです。その道では有名なんだそうな。受験の神様かな。


ついで、酪農組合が経営している「ふれあい牧場」という所へ行ってきました。
これまた、田舎にはよくありそうな施設ですが、複雑な気分です。
(左)看板はさびさび。
(右)昔は、乗馬もさせていたそうです。


林道を少し走ったところにあります。
誰を対象に開設したのかはわかりませんが(というか、当然、村民と観光客相手としか言いようがありませんが)、経営を考えているのかどうか。正直、経費ばっかりかかっているような感じです。もっとも、住民に動物と触れ合ってもらうと言う意味では「経営的な視点」は必要ないのかもしれません。でも、広範囲の人が集まる、にぎやかな施設にはなり得ないと思います。



ここでも、子供が生まれているようです。
「毛を刈る技術」が無いそうで、ほったらかしだそうな。都会なら、毛を刈って毛糸を作るおばさんのボランティア組織が出来るんでしょうけど、こういう田舎ではむつかしいんでしょうねえ。


一通り村内を案内してもらい、汽車の旅の続きです。乗り換えが多く、景色はずっと似たようなもので退屈でした。


どこだったか、大内山牛乳の販売機が構内にありました。ちなみに、和泉市民生協はここの牛乳だったように思います。


関西本線は木津川に沿って走ります。景色は良いはずだし、沿線にはサクラがいっぱいのはずです。が、完全に日は暮れ、景色は全く見えません。
笠置の駅では、夜桜用に照明がいっぱいついていて、さくら祭りまで行われているようでしたが、途中下車するのもめんどくさくって、車内からちらっと見ただけでした。

結局、紀伊半島を一周したと言うだけで、これといった達成感や、感激もありません。とにかく遠かった。


でもって、この春の18切符シリーズは終了しました。
暇なんでずっと時刻表をこねくり回していましたが、普通電車だけの旅行も、いい加減、限界かもしれません。