南方熊楠顕彰館とコウモリ 


2012年7月21日
 


某所の、コウモリ出巣を見たくて、白浜方面へ行くことにしました。で、途中の田辺市にも、南方熊楠の記念館があるので寄ってみることにしました。

けっこう、駅から近い所にあるので地図も確認せずに行ってみると、なんやら入り組んだところにあって、迷いました。


熊楠の家をそのまま保存し、熊楠を研究するとともに、その意志を生かした後継者への研究助成なんかも行っています。


先に、家の方を見ておこうと思って行ってみると、おばちゃんが出てきてくれました。チケットのモギリだけかと思っていたら、少しお話を伺うと、おそらく、熊楠の研究者とでも言うべき方のようでした。

こないだ私が本を借りて仕入れた話をすると、とにかくなんでも、それが起こった年号、その時の熊楠の年齢まで正確に出てきます。いくつかの疑問もあっという間に氷解しました。非常にわかりやすく、理路整然とお話しをして下さいます。最初にお話を伺い、帰りがけにも縁側で、結局、1時間くらいお付き合いして下さいました。標本から博物館の話になると、私の知っている方のお名前も出てきて、びっくりしました。

写真は、熊楠が飼っていた、というか、庭に居着いていたカメたち、です。計算では、70年近く生きていたことになるそうです。


家は熊楠が建てたわけではなく、中古の住宅を購入しています。
いかにも昔の感じはありますが、庭も含めて非常に手入れされていて、このまま、今、熊楠が現れても普通に研究生活できそうです。

なお、この家を保存する事が決まるまでも、かなりいろいろ紆余曲折があったみたいです。最終的には、例の「ふるさと創生一億円」を使ったみたいです。それがなかったら、今頃、石碑が一つ残されていただけかもしれません。
そのあたりの事情も、(白浜に、熊楠記念館があって、2ヶ所に資料が分散していることについても)いろいろお話を聞かせて頂いたんですが、うろ覚えで書いて間違いがあるといけないので、知りたい方は熊楠顕彰館の方へお越し下さい。


蔵の内部です。
資料や標本、蔵書類は本館の収蔵庫に納められています。


非常に手入れされた庭です。ただ、この庭は熊楠自身が作ったわけではなく、購入時そのままだそうです。ただし、いくつかは彼が植えたものもあるそうで、そのあたりのことも、(繰り返しばかりになりますが)お話しして下さいます。
一部は熊楠の生前からの木があり、一部は植え替えられています。


本館2階の収蔵庫です。


非常に古い、英文の百科事典。熊楠自体が使っていたものではありませんが、同時代のものを顕彰館が購入し、誰でも利用できるようにしています。


実物標本や図版などは、国立科学博物館に納められ、整理されています。まとまった図版が出版されていたはずです。
(右)日記(の、レプリカ)



熊楠顕彰館は、想像以上に、期待以上にすばらしい所でした。みなさん、是非一度は行ってみて下さい。充分予習して行って頂くと、さらに興味が湧くと思います。

で、夕食を兼ねて、白浜の定番、とれとれ市場へ行きました。


いくつか買い物をし、抽選券をもらったので妻がガラガラを回しました。と、くすんだ色のボールが出てきて、スタッフがびっくりしています。
ガランガランと鳴らされ、末等じゃないことはわかっても、何等賞なんでしょう?で、おめでとうございます、特賞です、と言われました。あれ、金色だったのか。
5000円分の商品券をもらいました。次にいつ来るかわからないので、太っ腹にいろんな買い物をしてもう一度抽選しましたが、それははずれでした。


夕方になってから、次の目的地、千畳敷へ移動しました。この下の海蝕洞で、ユビナガコウモリが出産しているのです。もうそろそろ、新生児も飛ぶはずです。その数、2万頭とか、3万頭とか、言われています。他の穴のことを考えると、夜7時くらいから出巣するはずです。


6時30分くらいに行ってみると、穴の上から穴の中に向かってコウモリが飛んでいます。出てくる子はほとんどいません。それらの子は、上の岩の隙間ででも過ごしていたのでしょうか?なんだか、不思議でした。


穴の直上まで移動して日暮れを待ちました。
予想通り、7時過ぎから、コウモリがいっぱい飛び出しました。近くの崖際を飛んでいる子が多くいました。ここに昆虫が集まっているのでしょうか?


バットディテクターに、うるさいほどのみんなの「声」が入ってきて、すぐ目の前をコウモリが飛んでいます。とてもカウントできる状況ではありません。じっとしていると、ほのかにグアノ臭が漂っていました。
崖を降りる場所も思い出しましたが、「私のフィールド」ではないので、遠慮しました。ここでの標識個体が、大阪府だけじゃなく三重県や福井県でも見つかっているそうです。

夏休み最初の土曜日と言うことで、渋滞を心配しましたが、まったくそれもなく、快適に帰阪する事が出来ました。
今日は非常に有意義な半日を過ごしました。