太地 くじらの博物館   


                    2004年10月3日



JR西日本の乗り放題3000円という切符があります。急に思い立ち、ずっと気になっていた太地くじらの博物館へ行ってみました。

行程、というほどでもない。検索しただけ。 始発でした。世間はまだ真っ暗やみ。


行きはまだ元気で、車窓からの風景を楽しんでいます。だんだん夜が明け、って言いたいけど、よく寝ていてあまり覚えていない。

印南町のカエル。詳細は各自ご検索下さい。 ウミガメ、南部の海岸。電車からは初めて。


やっぱり遠かった。10時に着きました。降りたのは私だけでした。
行くとしてもみんな車でしょうね。熊野側からバスで行く人も多いらしい。町はくじら一色です。

JRもバスもくじら。ガラス越しに撮っています、見にくくてすみません。

町の入り口のくじら 公園のモニュメント


着いてすぐにトドのショーがありました。トド?やけに小さいなあ。まだ子供だからかな。
そうそう、この日は雨が降っていて、お兄ちゃんが客席をぞうきんで拭いてくれました。腰に魚。すなわち、トレーナーのお兄ちゃんが演技前に客席の用意もするんですね。なんだかこぢんまりした、ファミリー的な会場です。

ショーの内容はボールとか輪投げ、あいさつの手を振ったり拍手とか。いわば古典的な演技でおもしろかった。

プールが小さいのにイルカが泳いでいます。すみません、ビデオを撮っていたので画像はありません。ジャンプの助走はどうなっているんでしょう?狭いのでぶつからないのか、そればっかりが気になってました。

その反面、オルカのショーは横の自然海岸を利用した大きな生け簀(?)で行われていました。こちらもジャンプとか歯磨きとうがい、キスとかのごく普通の演技。アドベンチャーワールドのようなトレーナーも海に入ってというような演出はありません。派手さはないけど、それなりに安心してみられます。


外観の写真を撮るのを忘れました。博物館のHP、こちらをごらん下さい。
昭和44年というので開館してから35年。四角い建物で真ん中が吹き抜けになっており、各種骨格標本が所狭しとぶら下げられています。各階まわりにはいろいろな展示物が並んでいます。
骨や展示物が色あせていたりして時代の経過を感じさせますが、それが妙に雰囲気をかもしだしていて味があります。

シャチやコククジラ、セミクジラ、ホッキョククジラ、・・・・・・・・・。

こんなもの(セミクジラ、勢子船)までぶら下がっています。アングルが悪くてすみません。

肩甲骨、上腕骨、とう尺骨、指骨、これを見るとやっぱり哺乳類。


こっちは1階にあるミンククジラの標本。


♂と♀の生殖器

上が膣、下に肛門、両脇に乳腺 見てのとおり


2階、3階の周囲に展示物が並んでいます。いろいろありすぎてすべてを紹介するのはとても無理ですが、どれもこれも興味深いものでした。

博物館というと、得体の知れない変色した液浸標本。睾丸と心臓、セミクジラのひげ。

胎児の標本。ヘソの緒があり、やっぱり哺乳類。

マッコウクジラの下顎 イルカ類の頭骨


捕鯨の道具は、もちろん実際に使っていたこともあって迫力があります。こんな道具で何トンもある生き物に、しかも海上で戦っていたんですね。いつ来るかわからないくじらを待って岬の見張り台で海を眺め、見つけ次第、人を集めて沿岸捕鯨していたのでしょう。なんで沿岸捕鯨までアメリカの言いなりで否決されなくてはならないんでしょう?

ちょっとはずれますが、くじらのストランディングでさえ今は食べませんよね。あんなん、海へもどしてもほとんど死ぬのでは?飛べない鳥を放鳥して満足してるのと同じ。天からのさずかりものは感謝して食べましょう。

2002年1月、鹿児島県西部の大浦町にマッコウクジラ14頭がストランディングしました。海へ帰そうとして努力しましたが13頭は死亡、1頭も一応は海へ戻りましたが生存は疑問視されています。食べれば億(これは収入)、死んでも処理に億(もちろん支出)。小さな自治体に処理費用を押しつけてたいへんなことになったそうです。病気で打ち上げられたのだから食べるな、という意見もあるけど、食べられるかどうかは日本人には有史以来の経験があるはず。これさえ食べるなというアメリカにも腹が立つし、いいなりの日本政府にもっと腹が立つ。

近いところでは最近、兵庫県にもくじらが上がったことがあります。種類は忘れました。陸に引き上げると鍋を持ったおばはんが並んでいたそうです。(ウソかホントか知りません。)


水族館があります。目玉はエントランスの、パイプ状の通路らしい。カメラマンが待ちかまえていて家族連れを見ると写真を撮ってくれます。1000円、だったかなあ。この日は雨で商売はボチボチだったみたい。この大きな大水槽一つと、あとは小さなのがいくつか並んでいるだけのこれまたこぢんまりした水族館。実に微笑ましい。
これでもか、っていっぱい水槽を並べられて魚をいっぱい見せられても、建物を出たとたん忘れてしまうので、これぐらいでも十分ですね。どこの水族館に行ってもおいしそう、しか感想は残らない。


自然海岸を利用した生け簀にイルカが多数泳いでいる、らしい。雨とにごりであまり見えませんでした。胴長を着て海に入り、イルカにさわったり魚を与えられるプログラムがあるそうです。時間が決まっていて私は見られませんでした。
留守番のお姉ちゃんが控えの陰で爆睡していました。桟橋を解放しているので、落ちるなどの事故防止目的の監視も兼ねた留守番だと思うんですが、寝ててもええんですかね。イルカ(ハナゴンドウ)も海に浮いて寝ていました。これまた微笑ましい光景。




捕鯨船が展示されています。これで何回も南極圏へ行ってたんですね。やっぱり本物は迫力が違います。


最初は夕方の電車で帰るつもりでしたが博物館、捕鯨船を見るとあとは見るものがありません。太地港へ行ってもあんまり興味はないし落合記念館なんて頼まれても行きたくない。第一、太地中心部は駅と反対側、で交通の便がよくわからない。
1時過ぎにボチボチ駅まで散歩がてら歩いて帰りました。5時間かかっても6時か7時に家へ着く、USJへでも行くかなあ、と思いつつ駅の時刻表を見ると、なんと電車は2時間に1本なんですね。次のは3時過ぎ。おまけに接続が悪く、串本でも時間待ち1時間。まあ、おかげさまで串本名物の橋杭岩なる ”観光名所” を見ることが出来ました。


串本で発車時間を待っていると特急が入ってきます。これに乗ると2時間ちょっとで大阪。一方、私の行程表ではあと4−5時間。普通電車と特急の価格差は2−3000円。1時間1000円の計算?
帰りは6時になるとすでに暗く、景色も見えず、乗り換えばっかりでたいへん遠かった。


ということで3000円の旅行は7780円分の運賃、すなわち4780円のお得で終了。
旅行に行かなければ3000円の出費もなかった、とはお考えにならぬように。

帰りは乗り換え5回。当然、土産はくじらです。写真を撮る間に開封してしまいました。