コウモリフェスティバル in 軽井沢  

2012年9月1-2日



コウモリの会が毎年、あちこちで「コウモリフェスティバル」というのをやっています。今年は軽井沢、という事で、一泊で十分行けますので、参加してみる事にしました。

行きは、阪和線から唯一、新大阪へ行く電車に乗りました。この電車、大阪駅を経由しないで新大阪へ行きます。大阪駅の貨物線の近くを通るみたいです。


何年も新幹線に乗った事がなかったのに、青森合宿に続いて、ほぼ一ヶ月でまた乗る事になりました。
今日は、東京から長野新幹線です。


昼前に軽井沢へ着きました。

ものすごい人で、びっくりしました。噂には聞いていましたが、この季節、東京からとにかくいっぱいの人が集まるらしいです。
駅の横にアウトレット(?)の店舗が並んでおり、そこに車も人もいっぱい集まっているみたいでした。


いわゆる軽井沢の観光地というか、ホテルがある場所まで30分ほど、バスに乗ります。送迎用のバスで無料でした。


東京都の、何とか区の青少年センターのようなところが会場でした。時間があったので、近くをぶらついてみました。


ものすごく広い土地に、ぽつん、と家が建っている、それがいくつも並んでいます。
講演会に軽井沢町の町長さんが挨拶に来られ、話では、ここらは建蔽率20%なんだそうです。また、7月から8月は、一切の工事を行わない(草刈り機もだめ)、コンビニは11時まで、というような紳士協定(条例化しているわけではない)があるそうです。

東京の人にとって、こういうところに別荘を持って避暑に通うのが「ステータス」なんでしょうか。
(あまり行った事もありませんが)六甲なんかとも、かなり雰囲気が違うみたいです。

(右)片面はガラス張りになっていて、のぞくとびっしり本が並んでいました。ここでゆったりしつつ、本を読むのでしょう。
ああ、うらやましい。


歩いていると、こんな看板も多く見つけました。
とあるところで別荘をいくつか紹介していましたが、3000万円とか、4000万円とかいう数字が並んでいました。
また、別のところでは、1000坪というような数字もみました。


で、午後から講演会が始まりました。


これは、コウモリに発信器をつけて、行動を研究した発表です。


何年か前、「コテングコウモリはこんなところで葉っぱにくるまれて寝ています」という、研究者の発表があり、その後のエクスカーションで歩いていたら、本当に葉っぱにくるまれたコウモリを見つけた、という「事件」があったそうです。その時のコウモリです。


こちらは、超音波の研究の紹介です。
(右)ちなみに、有名なのがコウモリと蛾のバトル。超音波を感じ取れる蛾がいて、コウモリからの音波を感じると飛ぶのをやめて自然落下したり、攪乱する超音波を出す蛾がいるそうです。


いくつかの講演を聴き、本来は夜にモモジロコウモリの観察会があるはずでしたのに、雨天で中止になりました。残念。


軽井沢へ来ましたが、宿泊は学生用の「合宿所」みたいなところでした。当然、温泉も入らず。

翌日も、朝から講演会がありました。
最初は、定年退官される大学のコウモリ研究者のお話でした。

(左)クロアカコウモリ、です。みての通り、黒と赤の派手なコウモリです。対馬で、40年ぶりに再発見されたそうです。
(右)1996年に発見された新種、リュウキュウテングコウモリです。


これは、秋吉台での調査風景です。化石を探すために、縦穴をハシゴで下りています。
(右)化石骨を多数含んだ地層、だそうです。


ここから発見された骨。
その後の研究で、おそらくテングコウモリ科の新種らしい、ということでした。


これはまた、別の方のお話です。
ヤマコウモリが鳥を食べている(食べていた)という報告です。


「白鼻症候群」という病気が、アメリカで蔓延している、という事でした。穴によっては、ほぼ壊滅状態だとか。
名前の通り、鼻や体が白くなる、致死的な病気です。


原因菌は子嚢菌、というところまではわかっているそうですが、進入経路なんかはわかっていないそうです。
推測では、コウモリ研究者が持ち込んだのではないか、といわれているそうです。


こちらでは、保全がらみのお話がありました。


(左)道路だったか、鉄道だったかの、下です。左側に細く、長く写っているのは、小動物用の移動用の道です。さらに、右側天井には細い隙間を作っていて、ここをコウモリが利用しているんだそうです。
(右)コウモリ屋にとっては非常に有名な、神社の屋根裏のヒナコウモリを人工的に移動させた小屋です。


最近、橋脚の下なんかでのコウモリの発見が多く、これは、橋の付け替え時にコウモリを人工巣穴みたいなところへ誘導した例です。


こちらでは、閉鎖されるダム関連施設にいたコウモリを、別の場所に作った人工的な穴へ誘導した例だそうです。
でも、このために数千万円の費用をかけるというのもなんだか、考えるところがあります。


最後に、地元の自然保護団体からの話がありました。軽井沢というと、クマとの共存で有名になりました。


ゴミの味を覚えたクマが、別荘地の中や、場合よっては留守宅やホテルの冷蔵庫を開けたりしていたそうです。


発信器で行動圏を探り、どうしても人との軋轢が大きいときは駆除したそうです。でも、冷静になって考えると、クマの生活圏に入ったのは人間のような気もします。


今は、訓練された犬を追い払い(山に返す)に使っているそうです。


講演はもちろん、今まで文献だけで知っていたコウモリ研究者の方といろいろ話をする事ができて、非常に有意義な2日間を過ごしました。

帰りに別荘地内を歩いていると、エサをくわえたリスが走っていました。別の方も見たとおっしゃっていたので、よほどリスが多いのか、人と共存しているようです。


人がほとんどない別荘地内から、観光客であふれた観光地へ戻って、ふたたびバスに乗って混雑する軽井沢駅へ。
新幹線なら、一時間ちょっとで東京です。まあ、これだけ近いと行きたくなる気持ちもわからなくもないです。

時間が十分あったので、東京で途中下車して、改装された東京駅を外から眺めてみました。


で、すっかり乗り慣れた(かもしれない)新幹線で、大阪まで戻ってきました。

これからも、可能ならコウモリフェスティバルに是非参加したいなあと思いつつ、また、コウモリ研究をさらにすすめたい気持ちを新たにした、2日間でした。