なにわホネホネ団           


2004年




なにわホネホネ団なるのものが博物館に出来ています。
簡単にいうと博物館に来る死体(哺乳類や両生爬虫類、鳥など)を標本にしようという、高貴な目標を持った有志の団体でありますが、実際は死体に群がるハイエナやハゲタカ、あるいはウジのようなもので、よってたかって皮をはぎ、骨を炊く団体のようです。交通事故のぺっしゃんこの個体や、ウジだらけの死体も横取りして標本にしています。

前から気にはなっていましたがどうしても皮のなめしがうまくいかず、修行のつもりで顔を出すと、めでたくメンバーの一員に加えて下さいました。平日の活動が多く、マメな参加は出来そうにありませんが、おりおり活動を紹介していきます。




12月23日

まず、マイルカが砂場に埋まっているというのでその掘り出し。約半年間、砂に埋めて肉を腐らせる(虫に食べさせる)事により骨の標本を作ります。大きくて炊けない動物などで応用しているみたいです。タヌキクラスでも管理さえすればアブラも抜けてきれいな標本になりますが、細かい骨を紛失する可能性もあります。

埋めた時の概略図を参考にしながら、骨の順番に注意しながら掘り上げます。細かい骨がある部位はネット状の布で包んだり、バットに入れたまま埋められています。
鯨類の骨は陸上哺乳類とかなり違いますね。特にひれの骨は数が多くて訳がわかりません。何でこんなに細かいの?まあ、何らかの必要はあるんでしょうけど。

地図を元に発掘。 ”出土”状況をチェック。

細かい骨のある部位は布でくるまれている。 位置を変えないように移動。

一番細かいひれ部分。このまま埋没させてた。 尾も細かい骨が並ぶ。

すべての骨に番号札をつけて水洗。 頭部。陸生哺乳類とはかなり違う。

ひれ部分。なんでこんなに骨が多いの? 下顎、舌骨、耳骨。


午後からはゴマフアザラシ。冷凍物ですが死んでから日が経っているのか、毛がほとんどありません。さらに、すでに解剖されていて中身(内臓)もありません。なんだか複雑なにおいがしていました。焼き魚のにおいとか、鰹節のにおいとか、みんないろいろおっしゃっていました。
皮下脂肪が10cm以上あります。いわゆるコロ、ですね。寒いところで住んでいた訳ではないのに、どうしてこんなに必要なんでしょう?脂肪がギダギダで持ちにくいこと。

一応はゴマちゃん。 毛がなく、模様がはっきりしない。

まさに、脂肪の布団。 アブラでギトギト。すごく赤い肉。

脂肪も肉もそれなりに新鮮なら食べられるんだろうなあ、と思いつつバケツへ。
肉が異常に赤いのは、酸素を運ぶ能力云々、でしたっけ?
そういえばイヌイットの家に ”ホームステイ” した人の話では、行くまでは ”かわいい”、と思っていたアザラシが、日本に帰ってくると ”おいしそう” になっていたとか。

すでにパーツに分かれて除肉中。 で、あとは炊くだけ。

今日はクリスマス会。このあとプレゼント交換。 で、私の作ったプレゼントはこれ。




12月11日


特に目玉はありませんでした。冷凍庫の整理、てな感じかな。
ただし、夕方まではお子様タイムで、ほねほね団小中学生の部が活動し、派手なことはしません。夕方以降、場合によれば夜中まで大人ほねほね団にメンバーが替わるので特別の出し物がある日もあるみたい。今日はサンショウウオがあって私も小学生の部で終わりました。

テンが2体にタヌキ2体、持ち込みでアカネズミ、ウシガエル、シロハラ。
しいて受け持ちはなく、子供の指導をしていました。小学生でも慣れるとメスさばきがみごと。反面、今日がはじめて子もおり、見ていて怖い。

色の違いが産地なのか、季節なのか、個体差なのか、調べようと思いながら忘れてしまった。

ちょっと炊きすぎ。 カエルは、私は自信消失。




11月16日 番外編

先日事故で死亡させたコキクガシラコウモリと、骨格標本用に採集したウシガエルを炊きました。
コキクガシラコウモリはまあまあ、いつもの調子で皮剥と頭骨標本作製。内臓は液浸標本に。真面目な頃は腸管を実体顕微鏡で開いて寄生虫も探したのですが、最近はいつもさぼっています。もっとも、寄生虫が出てきても同定は出来ないし、出てきて喜んでお終い、なんですが。
また、油断して翼を閉じたまま乾燥させてしまい、片翼が開いた標本には出来ませんでした。


ウシガエルが診療にくるケースはまず無いでしょうけど、参考までに両生類の骨格標本も比較標本として欲しいなあと前から思っていました。たまたま先日のオオサンショウウオ調査で、川底で寝ていたのを捕まえたので試してみることに。

少し炊いただけでえらいことになってしまいました。
これでは整復不可能ですねえ。どうも、炊くという発想が両生類には向いていないのか。薬品処理の方がいいような気がします。
標本作製上達のコツはまがりなりにも組み立ててそれらしい姿に近づける、同じ失敗を繰り返さないと言うことだそうです。とはいえ、これを組み立てるのは、さすがに両生類ともなると手元に資料も少なく挫折気味。基本的には哺乳類に似ているような似てないような。



11月3日(文化の日)

(HPにホネホネ団のスレッドがあることすら忘れてしまっていました。本来なら ”週末の院長” に概略を流してこちらが本文のはずですねえ。書き換えるのもめんどくさいので、今回はコピーしてしまいます。)


カジキがあるというので見に行ってきました。
魚の学芸員がたまたま近所のスーパーを通りかかると、カジキの解体ショーと即売をしていたそうです。行事が終わってから頭だけもらってきたそうです。普通、じゃまになるので流通段階で口吻部分は切り取られているケースが多く、このような完品は少ないとか。骨の標本を作ると言うことでした。

頭部とか目の裏は一番おいしいところとか。解体しながら一部は食用として肉をはずしていました。残念ながら私は昼で帰ったので、その肉がどうなったのかはわかりませんでした。

あと用意されていたのはタヌキ数体。例によって例の如く交通事故個体で頭部がバラバラ。とても組み立てられる状態ではありませんでしたし、写真も撮る気がしませんでした。

カジキは確かクロカジキ(通称クロカワ)、って言ってた様な気がします。
吻を何に使うのか、興味がありますね。魚の群れに突っ込んで左右に振って魚を殺す?気絶させる?、その後その魚を飲み込むらしいです。これで魚を突き刺したら目の前にごちそうが刺さったまま食べられないという、マンガみたいな話になります。目に頼って生きているので、目もりっぱでよく見えるらしい。




10月11日

タヌキシリーズで4体用意されていました。みんな日付が新しい。今年の秋の子、らしいです。
小、中学生が何人かいたので内臓の説明を。こういう形での剖検は久しぶりで、むつかしい質問が来なくてよかった。やっぱり一番受けるのは気管から空気を送り込んで肺をふくらませるところ。心臓の循環も説明しようと思ったけど、切り方を忘れてうまく説明できず。
胃内容は1頭のみ確認しましたが、柿、蛾の幼虫、ムカデ、食虫目の皮などを確認、あとは断片でよくわかりませんでした。

夕方からサルシリーズの骨を炊いたらしいけどこちらは所用で立ち会えず。

ホネホネ団の看板が出来ていました。




9月30日

サルシリーズで、動物園からのブタオザル、スローロリス、ニホンザルを処理するという連絡が来ました。
仕事が終わってから駆けつけると大人が4名のみ。ホネホネ団には子供の団員も多いのですが、平日の夜中なので、また、霊長類は病気が人と共通なので出入り禁止にしました。
さらに、作業しにくいので(普通の野生動物なら)つい素手で解剖してしまうのですが、さすがに今日は作業衣と手袋で完全防護。

見学のつもりが死体数と参加者が期せずして同じだったので、私もブタオザルの処理をすることになりました。
自然史博物館には現生哺乳類の専門家がいないし、小さなもの、特に赤ん坊は処理がたいへんで数年ものもあるらしい。この子も保存期間が長すぎて指など末端が乾燥し、剥きにくいこと。

見れば見るほど人と同じ。爪や指紋、掌紋、目、、耳などを見ていると(赤ん坊、子供がいたので)なんだかつらいものがありました。まあ、こうやって後世のために資料として活用されるのが本人にとっても、仲間にとっても大切なことなんですが。

ということで、イタチ、タヌキ等は血だらけの画像も平気で載せていますが、サルとなるとちょっと心情的に載せづらい。

9/23の子ら。2,3時間炊いて除肉するとこの程度。頭は一番大切なのでもう少し肉を取るために腐らせています。
あまりバラバラにするとどこの骨だかわからなくなるので、パーツには分けていない。さらに、場所を取るのでもちろん組み立てもしません。
私的にはもう少し炊いてオキシドールに1晩浸けたいところです。
皮も処理が終わってきれいになっていました。これは次回に。



9月23日(秋分の日)

成体では奄美で有害駆除されたジャワマングース、某動物園から寄贈のシママングース、マレージャコウネコ(子供)、チョウセンイタチ、バケツはジャガー、カルカルの、おおまかに除肉され一日炊かれた骨が数個(数バケツ)。
皮むき班と骨洗い班に分けてただひたすら剥く、あるいは骨をゴシゴシ。

奄美大島のジャワマングース。案外小さい、けど尾はすごく太い。

ジャワマングース シママングース

マレージャコウネコ(子供) チョウセンイタチ

このレベルまで皮下脂肪を取るらしい。 丸太に貼り付け根掘りでこする。

カラカル ジャガー




2004年8月11日


初参加。
ヒョウとアザラシと・・・(忘れた)がすでに皮だけになっていました。
みんなで皮下脂肪取り。

皮をむいてミョウバンに浸けていた皮を干す。
たまたま中型哺乳類が3つ並んでおもしろかった。

ハクビシン タヌキ アライグマ(ウジにくわれていたらしい)